
様々な業界・業種の企業が一堂に会する展示会。数多くのブースが軒を連ねる中、自社のブースに立ち寄ってもらい、製品やサービスの魅力を最大限に伝えるには、高度な展示戦略が求められます。
特に展示会の出展経験が浅いご担当者様の中には、
「どうすれば立ち止まってもらえるのか」
「限られた時間の中で製品の良さをどう伝えればいいのか」
といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
その強力なソリューションとして、近年注目を集めているのが「映像・動画」の活用です。動きと音で瞬時に情報を伝えられる動画は、来場者の視線を惹きつける「アイキャッチ」として絶大な効果を発揮し、ブースの集客力を大きく高めてくれます。
そこで今回は展示会での動画の展示方法に焦点を当て、モニターの設置場所や動画を軸にしたブース設計、来場者が思わず足を止めたくなる見せ方まで、実践的なアイデアをまとめてご紹介します。
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目次
1.展示会で動画が果たす4つの役割

展示会では多くの企業が自社ブースに来場者を引き込むため、様々な工夫を凝らして運営に取り組んでいます。導線設計やスタッフの配置、展示アイテムの構成に加え、配色や照明の演出、MCの活用、ノベルティの配布など、展示会を成功へと導くための要素は多岐にわたります。
実際に会場を訪れた際、通路沿いに大きなモニターを設置して、映像や動画を流しているブースを目にしたことがないでしょうか。ブースデザインに加え、来場者の視線を集めて足を止めさせる「アイキャッチ効果」が大いに期待できるのが、映像や動画の強みなのです。
さらに情報伝達やブランディングなど、展示会における動画の役割は多方面に広がっています。ここでは、展示会における動画の主な4つの役割についてご紹介しましょう。
来場者の足を止める「アイキャッチ効果」
動きのある映像は、静止したブース群の中で一際目立ちます。人は本能的に「動くもの」に反応するため、動画があるだけで来場者の視線を引きつけやすくなるのです。
短時間で魅力を伝える「情報伝達力」
製品・サービスの魅力を文章や図で説明しようとしても、短時間ではなかなか頭に入らないもの。動画なら視覚と聴覚に同時に訴えることができるので、数十秒でイメージを伝えられるだけでなく、内容が記憶に残りやすくなります。
世界観を印象づける「ブランディング」
企業の理念やこだわり、世界観をストーリー仕立てで見せられるのも動画ならでは。グラフィックや色彩設計、BGMなどを通して、ブース全体に一貫性を持たせられます。
さらに読む:ブランディング動画を作ろう!
商談の効率化に貢献する「営業ツール」
動画が製品の魅力や導入事例をわかりやすく伝えてくれるため、来場者は事前に概要を理解し、そのまま次のステップへ。スタッフは詳細の説明や提案にスムーズに移行でき、限られた人員でも効率的な対応に繋がります。
2.来場者の視線をつかむ展示会動画の配置と活かし方

動画の役割を理解したところで、次にその効果を最大限に引き出すための具体的な「展示方法」について見ていきましょう。
ここでは来場者の視線と動線を意識したブース全体のデザイン、モニターの配置や照明との組み合わせなど、映像の効果を最大限に引き出すための工夫をご紹介します。
統一感と動画中心の設計で世界観を伝える
動画はブースを構成する「一つのパーツ」です。動画単体ではなく、ブース全体のデザインと連動させて初めて強い訴求力を発揮します。壁面のパネルやパンフレット、スタッフのユニフォームなどと色やデザインを統一することで、より一貫したブランドイメージが生まれます。
また、デザイン時から映像を主役に据えたブース設計が効果的です。空いたスペースにモニターを設置するのではなく、最初から来場者の「視線と動線」を動画に集めるレイアウトにすることで、映像に注目が集まり訴求力の向上に繋がります。
モニターの配置で段階的に興味を引き込む
モニターをどこに設置するかで、来場者の動線と注目度は大きく変わります。「ブースの顔」にあたる通路に面した正面は、来場者の視線を最も集めやすい場所です。ここにメインモニターを設置すれば、多くの人の印象に残りやすくなります。特に、目線よりやや高い位置に設けることで、遠くからの視認性も高まります。
さらに、メインモニターで興味を持ってくれた来場者をブースに誘導し、より詳しい情報を提供するためのサブモニターを、ブース内部に設置しましょう。製品の横に小型モニターを置き、商談スペースでは個別にタブレットを活用するといった方法が効果的です。
空間や光を立体的に活かす「演出設計」
動画はモニターの中だけで完結するものではなく、ブース全体を使った演出によって印象が大きく変わります。たとえば床にLEDビジョンを埋め込んだり、天井からモニターを吊り下げたりといった、来場者の視線を上下に誘導するユニークな構成はインパクトがあり、他のブースとの差別化にもつながります。
また、照明もブースの雰囲気を演出する重要な要素です。モニターを直接照らすのではなく、その周囲や視聴者側にライトを当てることで空間に立体感が生まれ、映像がより際立ちます。一方で、照明の角度や位置によっては反射して映像が見えづらくなる場合もあるため、事前に細心の注意を払いましょう。
デモンストレーションと映像の連携
製品やサービスを実際に動かして紹介するデモンストレーションを行う際にも、映像は大きな役割を果たします。実際の製品を動かして見せるだけでなく、カメラでその様子を撮影し、別のモニターに映し出すことで、ブース外や後方にいる来場者にも伝わりやすくなります。
その際、デモンストレーションの視認性を高めるためにも、モニターの設置位置には工夫が必要です。
3.展示会動画を引き立てる機材の選び方

次に、映像を表示するためのモニターやスピーカーなど、機材面での具体的な工夫について見ていきます。モニターのサイズや解像度、音声の伝え方にまで配慮することで、動画の魅力をしっかり届けられます
サイズは大きければ大きいほどベター
展示会では「大きいことは良いことだ」が基本です。通路に面したメインモニターは、可能な限り大きなサイズを選びましょう。最低でも55インチ以上、できれば70インチ以上を選びましょう。遠くからの視認性が格段に上がるのはもちろん、アイキャッチ効果が高まります。
高解像度・高輝度のモニターで鮮明な画像を表示
至近距離で映像を見られる可能性もあるため、4Kなど高解像度のモニターを使用すると映像の粗さが目立たず、製品やブランドの印象を損ねません。また、解像度の高さは来場者の信頼感にも繋がります。
さらに展示会場の照明は非常に明るい場合が多いもの。高輝度仕様のモニターを選ぶと、明るい環境下でも光の影響を受けず、鮮明な映像を表示できます。
「ビデオウォール」による迫力の演出
複数のモニターを組み合わせて1つの大画面を構成する「ビデオウォール」は、展示会で強いアイキャッチ効果を発揮する映像演出のひとつです。4台を田の字に並べるだけでも大きなインパクトがあり、離れた場所からでも自然と視線が集まります。
さらにスペースや予算に余裕があれば、横一列や縦長配置、大型LEDパネルによる全面展開など、スケール感を活かした多様なレイアウトが可能です。
ビデオウォールはコンテンツの演出自由度も高く、製品紹介・ブランド演出・世界観訴求などさまざまな用途に活用できます。来場者の印象に残るダイナミックな演出を目指すなら、積極的に検討したい機材です。
指向性スピーカーの活用
雑踏音が多い展示場では、「指向性スピーカー」の使用がおすすめです。このスピーカーは特定の方向や範囲にのみ限定して音を伝えるため、周囲への音漏れを最小限に抑えつつ、ブースの正面に立った人にだけクリアな音声を届けられます。混雑した会場で、伝えたいメッセージを的確に伝えるための有効な手段だと言えるでしょう。
4.伝えたいことが伝わる展示会映像の作り方

いくら素晴らしい機材を最適な場所に設置しても、肝心の映像コンテンツがつまらなければ意味がありません。展示会で来場者が「思わず足を止めたくなる映像」を作るには、表現方法にも工夫が必要です。
冒頭の「3秒」で来場者の心をつかむ
来場者が動画に注目するか否かは、冒頭の3〜5秒で決まります。最初に企業ロゴや挨拶を長々と入れていては、すぐに視線を外されてしまいます。
「見てもらえる」動画を作るには、美しい風景やダイナミックなCG、自社の製品の一番魅力的なシーンなど、視覚的にインパクトの強い映像から始めましょう。
さらに「〇〇にお困りではありませんか?」といった問いかけや、「業界を変える3つの理由」といった興味を引くキャッチーなコピーを大きなテロップで見せると効果的です。
また、「顧客満足度98%」「導入実績〇〇件」といった具体的な数字を冒頭に配置すると、来場者の信頼感と興味を同時に引き出せます。
ループ再生を前提にした構成
展示会では同じ動画が一日中繰り返しループ再生されるため、来場者がいつ、どのタイミングで見ても伝わる構成が求められます。
ストーリー性の強い長めの映像は、途中から見ても意味がわかりません。それよりも「課題→解決策→効果」といった一つのテーマを1分程度の短いブロックで構成し、それを繋げて見せる構成にする方が、途中から見ても理解しやすくなるためおすすめです。
また、同じような映像をただ繰り返すだけでなく、複数のショートムービー(製品紹介、お客様の声、コンセプトムービーなど)を組み合わせてローテーションさせると、来場者を飽きさせず、より長くブースに留まってもらえます。
無音でも伝わる動画を意識する
展示会場では「雑踏音」と呼ばれる周囲のノイズが常に響いており、BGMやナレーションをそのまま流しても、来場者の耳に届かないことが少なくありません。来場者がブース前を通過する数秒間に、音声でインパクトを与えるのは非常に難しいと言えるでしょう。
そのため、展示会で使用する動画は「無音で再生されること」を前提に制作するのがおすすめです。テロップ(字幕)やグラフィック(図解)、アニメーションなどを活用し、音がなくても内容が確実に伝わる映像表現を意識しましょう。
ナレーションの内容をそのまま字幕化するだけでなく、キーワードを強調したり、動きのあるアニメーションにしたりすることで、来場者の目を引きやすくなります。特に言葉では伝わりにくい概念やデータの推移などは、インフォグラフィックなどを駆使すると、わかりやすくテンポの良い動画に仕上がります。
また、動画の雰囲気づくりにはBGMも有効ですが、展示会ではあくまで補助的な存在と捉えるのが妥当です。音が聞こえなくても魅力が伝わる映像構成こそが、展示会動画に求められるポイントだと言えるでしょう。
動画の種類と長さを使い分ける
展示会で動画を効果的に活用するには、目的に応じた「種類」と「長さ」の使い分けが重要です。目を引く短尺のアイキャッチ動画から、製品紹介やインタビュー、ブランド訴求に適した中尺の動画まで、内容や見せる場所によって適したフォーマットは異なります。
種類 | 内容・特徴 | 推奨尺 |
---|---|---|
アイキャッチ動画 | 通路を行く来場者の足を止めるための動画 テンポの良いカットや大きなテロップ、キャッチ―な音楽で構成し、とにかく「目立つこと」を最優先。製品の魅力やコンセプトを凝縮して紹介するダイジェスト版などが向いています。 | 30秒〜1分 |
製品・サービス紹介動画 | ブース内で見てもらうための動画 来場者の持つ課題を特定し、自社の製品やサービスがどのようにその課題を解決するのかを、実写やCGを組み合わせてわかりやすく解説します。 | 1〜3分 |
お客様の声・事例動画 | 導入事例を通じて信頼性を訴求する動画 実際に導入した企業の担当者が登場し、課題から解決までのストーリーを語ってもらう形式です。第三者のリアルな声には説得力があり、来場者の信頼を得やすくなります。 | 2〜5分 |
コンセプト・ビジョン動画 | 企業の理念やビジョン、世界観を伝える動画 エモーショナルな映像や音楽を使った演出で感情に訴え、来場者の記憶に残るブランドイメージづくりに活用します。 | 1〜2分 |
動画の「ゴール」を明確に設計する
せっかく来場者の足を止め、興味を引く動画を用意しても、その後のアクションに繋がらなければ意味がありません。展示会への出展には、見積もり依頼や商談件数など、明確な目標やゴールを設定しているはずです。
動画の最後に商談や資料請求へと導く要素を入れるほか、ブース内にも資料を設置し、担当者との相談スペースを設けるなど、明確な「次の一手」を盛り込むことで、展示会全体の成果に繋がります。
まとめ:動画を組み込んだ展示会戦略で、自社の魅力を最大限に伝えよう
今回は映像や動画を中心に据えた、展示会でのブースデザインについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
映像や動画は来場者の足を止め、関心を引きつけるための強力な「呼び込みツール」です。ブースの規模や展示内容に応じて活用の方法は様々ですが、ただ流しているだけではその力を十分に発揮できません。
重要なのは、来場者の視線や動線といった「体験の流れ」を意識し、展示会マーケティング戦略の中に映像を組み込むこと。そして目的に応じた「見せ方」を設計することが、より多くの成果につながります。
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