企業が自社のプロダクトやサービスをPRするために必要不可欠な広告。ひと昔前までは、企業はテレビや新聞・雑誌などの伝統的なメディアを介して、広告展開を行っていました。
現代では、広告市場の主戦場はWeb上に移行し、テレビなどのマス広告をインターネット広告が広告費で追い抜いています。特に動画広告やSNS広告が拡大しています。
動画コンテンツが日常に浸透していく昨今、動画広告に参入したいと考えている企業も多いはずです。
しかしながら、
「動画広告を始めたいが、何から手をつければ良いかわからない」
「制作しても効果が出るか不安」
といった悩みを抱える担当者様も多いのではないでしょうか。
本記事では、動画広告の有用性や種類、制作のコツ、プラットフォーム選定などを詳しく解説しながら、2025年以降の動画広告の未来予測を行っていきます。
この記事を読めば、動画広告制作の全体像を理解し、自社のプロモーションを成功に導く具体的なアクションプランを描けるようになります。
【関連記事】
＞SNS動画広告の効果やメリットは？各動画広告の特徴と制作のポイントを解説
＞【2024年最新版】YouTube広告の種類を徹底比較！7種類の特徴と選び方とは？
目次
1.なぜ、動画広告が重要なのか？その圧倒的な有用性とは？
数ある広告手法の中で、なぜ今、動画広告がこれほどまでに注目されているのでしょうか。その背景には、他のフォーマットにはない圧倒的な有用性があります。
情報量と伝達力
動画は、映像、音声、テキスト（テロップ）を組み合わせることで、静止画やテキストの数千倍から数万倍の情報量を伝えることができると言われています。
商品やサービスの持つ世界観や利用シーン、複雑な機能などを、短時間で直感的にユーザーに伝えることが可能なのです。
記憶への定着力
動画の記憶定着率は記事コンテンツの2倍程度高いと言われています（※）。
これは、動画は「動き」と「音」を伴い、視聴者の感情に訴えかけやすいという特徴があるためです。
リアルな美しい映像を映した動画であったり、等身大の姿で語りかけたりする動画であったりと、視聴者が自分ごと化しやすく、共感を得やすいコンテンツなのです。
文字や静止画にはない、この感情的なつながりが、長期的に脳に定着しやすいと言われている理由です。
※アメリカ国立訓練研究所が「ラーニングピラミッド」という理論を提唱
SNSによる拡散力
現代において広告の成果を上げるには、SNSなどで情報が自然と広まる「バズ」をいかに生み出すかが重要です。
共感を呼ぶストーリー展開や、面白い動画広告などは、広告でリーチする層以外にも、情報を届けられるため、費用対効果が非常に高くなる可能性があります。
しかし、SNSでの情報の広がりは消費者の自発的な行動に委ねられるため、企業側での制御は困難です。意図に反して否定的な評判が広まれば、ブランドイメージが大きく傷つくリスクがあることは覚えておきましょう。
高いコンバージョン
Webサイトへの誘導、商品購入、問い合わせといったコンバージョン率の向上にも動画広告は大きく貢献します。
Webで実施される動画広告においては、PDCAを回すことで広告効果を最大化していくことが重要です。作ったら終わりではなく、コンバージョン獲得のために日々、改善していけることが特徴です。
効果測定が明確で容易
視聴に関する指標（視聴回数や完全視聴率）、ユーザーの行動に関する指標（広告のクリック数、コンバージョン数）などが、リアルタイムで計測ができます。
あらゆる指標を確認しながら、日々の改善をおこなっていくことで、上記で説明したように高いコンバージョンが実現できるようになります。
2.多様化する動画広告の種類とプラットフォーム
動画広告と言っても、その種類は多岐にわたります。目的やターゲットに応じて最適な広告フォーマットと配信プラットフォームを選ぶことが成功の鍵となります。
ここでは、代表的な動画広告の種類を5つ解説します。
インストリーム広告
YouTubeなどの動画コンテンツの前後や途中に再生される広告。
視聴者が「これから動画を見る」という明確な目的を持っているため、広告への注目度が高いのが特徴です。スキップ可能なものと不可能なものがあります。
アウトストリーム広告
Webサイトのバナー広告枠やSNSのフィード上など、動画コンテンツ以外の場所で表示される広告。ユーザーの視聴体験を妨げにくいメリットがあります。
YouTube広告
世界最大の動画プラットフォームであるYouTubeは、動画広告において最も重要な媒体の一つです。
ブランド認知度向上に効果的である6秒間の動画広告「パンバー広告」や5秒後にスキップできるスキップ可能なインストリーム広告など多くの広告メニューがあります。
さらに読む：YouTube広告の種類を徹底比較！
X（旧Twitter）広告の動画活用
リアルタイム性と拡散力に優れたX（旧Twitter）も動画広告に最適なプラットフォームです。キーワードターゲティングを活用し、特定の興味関心を持つユーザーに的確に広告を配信することが可能です。
Instagram・TikTok広告
どちらも若年層を中心に絶大な人気を誇るプラットフォームで精密なターゲティングに強みがあります。どちらもモバイルに特化した媒体で、縦型動画広告（Instagramはリールやストーリーズなど）が主流です。
さらに読む：インスタのリールとは？
3.動画広告を制作する前に決めるべきこと
効果的な動画広告は、撮影や動画編集などのようにいきなり制作を始めるのではなく、事前の戦略設計が成功への鍵と言っても過言ではありません。
ここでは、動画広告を制作する前に重要なステップを確認していきましょう。
こうしたステップを丁寧に踏んでいくことで、漠然とした動画制作ではなく、目的に沿った戦略的な動画広告を制作することができます。
KGI・KPIの明確化
まずは目的や目標を明確化することから始めましょう。「何のために動画広告を配信するのか」「どのような成果を期待するのか」など具体的に設定します。
・KGI（Key Goal Indicator：重要目標達成指標）
企業やプロジェクトが目指す最終的な目標を、具体的な数値で示したもの。
例）売上30%アップ、新規顧客獲得数1000件
・KPI（Key Performance Indicator：重要業績評価指標）
KGIに至るまでの「過程（プロセス）」を評価するための中間的な指標。
例）動画再生回数10万回、Webサイトへのクリック率5%、コンバージョン数50件
ペルソナの特定
誰に動画を見てもらいたいのか、その視聴者のニーズや興味は何かなど、ターゲットとなる顧客像（ペルソナ）を詳細に設定します。
年齢、性別、職業、ライフスタイル、抱えている悩み、普段利用するSNSなどを具体的に描くことで、ターゲットの心に響くメッセージや表現方法が見えてきます。
メッセージの明示化
構成や表現、世界観など動画のすべての要素を決定するメッセージは、広告の成否を分ける重要なステップです。
動画を通じて何を伝えたいのか、最も伝えたいことは何かなど、ターゲットに向けた広告メッセージを端的に表現します。
専門用語を避け、ターゲットにとって分かりやすい言葉や表現を選ぶようにしましょう。
予算とスケジュールの策定
動画広告には、企画構成費、撮影・編集費、広告費など様々なコストがかかります。どのくらいの予算を確保できるのかを明確にし、その範囲内で実現可能なクオリティと施策を計画します。
また、企画から制作、配信開始までのスケジュールを具体的に立てておくことも重要です。
さらに読む：動画制作会社の見積書を大公開！
配信プラットフォームの選定
設定した目的とペルソナに基づき、最も効果的な広告配信プラットフォームを選定します。
例えば、若年層向けの商材であればTikTokやInstagram、ビジネス層向けであればFacebookやYouTubeなどが考えられます。プラットフォームの特性に合わせて動画の尺やフォーマットを最適化する必要があります。
4.動画広告制作の5つのコツ
動画広告の成果を最大化するためには、いくつかの制作のコツがあります。
視聴者の主な目的はコンテンツの視聴であり、その体験を中断させる動画広告は、「邪魔された」というネガティブな印象を与えかねない存在です。
そんな厳しい環境の中でも、視聴者の心を掴み、行動を促すための制作のコツをご紹介します。
①冒頭5秒以内で惹きつける
多くの動画広告は最初の数秒で視聴を続けるかどうかが判断されます。
インパクトのある映像、本質を突く問いかけ、視聴者のメリットを提示するなど、冒頭の5秒までに「自分ごと」だと思わせ、興味を引きつける工夫が不可欠です。
②ストーリーテリングで共感を呼ぶ
商品やサービスのメリットを単に羅列するのではなく、顧客が抱える課題を主人公がどう解決していくかといったストーリー仕立てにすることで、視聴者は感情移入しやすくなります。
共感はブランドへの好意を育み、記憶に強く残ります。
③わかりやすいテロップやデザイン
テロップや字幕、フォントの種類やサイズ、色、表示タイミングなど見やすさを考慮してデザインすることが重要です。
また、通勤中や休憩中など、音声が出せない環境で視聴されるケースは非常に多いです。音がなくても内容が完全に伝わるようにしましょう。
④シンプルで分かりやすいメッセージ
先ほどお伝えした通り、広告は視聴者にとってネガティブな印象を与えてしまいます。
そのため、複雑な表現や内容であればあるほど、視聴者には見てもらえず、スキップされてしまう恐れがあります。
短い言葉で的確に表現されたメッセージは、視聴者の注意を引く「トリガー」として機能します。内容が理解しやすいため、記憶にも残りやすくなるのです。
さらに読む：印象を決定づける声について
⑤CTAを設置する
CTA（Call To Action）とは、視聴者に具体的な行動を促すために設置される要素です。
例えば動画広告の最後に「詳しくはこちら」「無料サンプルを申し込む」「今すぐ購入」など明確に提示し、視聴者が次に行うべきアクションで迷わないよう、分かりやすく導線を設計します。
5.動画広告トレンドと未来予測
最後に、これからの動画広告の潮流について解説します。まずはこちらをご覧ください。
株式会社サイバーエージェントが発表した「動画広告市場推計・予測＜広告商品別＞」では、2026年の動画広告市場は、昨年対比約112％の9,482億円、2028年には1兆1,471億円に達すると予測しています。
成長著しい動画市場を背景に、動画を用いたコンテンツマーケティングは、企業の集客やブランディングにおいて不可欠な戦略となっています。
そのうえで、今後の動画広告のトレンドがどのようになっていくのか見ていきましょう。
AIによるパーソナライズ広告の進化
AI技術の進化により、個々のユーザーの興味関心や視聴履歴に基づき、動画の内容やメッセージをリアルタイムで最適化するパーソナライズ広告がさらに高度化します。
まるで自分一人のために作られたかのような広告体験が、コンバージョン率を劇的に改善するでしょう。
縦型ショート動画のさらなる主流化
TikTokやYouTubeショート、Instagramリールに代表される「縦型ショート動画」の勢いは今後さらに加速します。
株式会社サイバーエージェントの「縦型動画広告需要の推計・予測＜縦型動画広告＞」では、今後も縦型動画広告の市場が拡大していくと予測しています。
そのためスマートフォンでの視聴に最適化されたこのフォーマットをいかに攻略するかが、動画広告戦略の重要な鍵となります。
さらに読む：ショート動画（縦型短尺動画）の魅力とは？
インタラクティブ動画の本格化
視聴者が動画内の要素をクリックすることで、ストーリーが分岐したり、詳細情報が表示されたりする「インタラクティブ動画」。
一方的に情報を受け取るだけでなく、能動的な参加を促すことで、エンゲージメントを飛躍的に高める手法として注目されています。
まとめ：効果を最大化する動画広告を制作して、自社のビジネスを加速させよう！
本記事では、動画広告の有用性から具体的な制作のコツ、未来のトレンドまでを詳しく解説しました。
動画広告は、効果的なマーケティング手法として多くの企業に利用されています。企業の認知を拡大し潜在顧客にアプローチするため、動画を活用したコンテンツマーケティングや広告配信は、今後もますます重要性を増す施策となるでしょう。
動画広告の効果を最大限発揮するためには、動画広告で狙ったターゲット層に的確にメッセージを届ける戦略的な運用が不可欠です。
いきなり動画広告の制作に入るのではなく、まず「どこに掲載するか」や「誰に見てほしいか（ターゲット）」を決定します。その戦略に基づき、視聴者の共感を呼ぶ表現を考えることが成功の鍵です。
本記事で解説したポイントを参考に、戦略的な動画マーケティングを実践し、貴社のビジネスを力強く加速させてください。
バドインターナショナルは、動画広告における専門的なプロが、戦略設計、企画、制作まで様々な広告プランをご提案します。また、動画コンテンツを活用した各プラットフォームでの広告運用も行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
