現在、動画広告を配信できるプラットフォームには、InstagramやTikTok、X(旧Twitter)そしてLINEなど、さまざまなものが登場しています。しかし、その知名度や機能を考えると、やはり世界最大規模を誇るYouTubeを無視することはできません。
そこで今回の記事では、YouTube上で広告を配信する際に注意すべき点や、広告フォーマットの種類について、わかりやすくご説明します。
目的やターゲットに合わせた適切な広告配信を行って、確実にコンバージョンを獲得し、ブランドの認知や商品・サービスの購入へと繋げていきましょう。
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目次
1.どう違う?YouTube広告7種類の特徴とは
一口にYouTube広告と言っても、そこには様々な手法が存在します。目的やターゲット層、予算に沿って適切な広告を流すことが、効果的な配信の実現には不可欠です。ここではYouTube広告の7つの種類と、それぞれの特色についてご紹介します。
スキップ可能なインストリーム広告
「スキッパブル広告」とも言い、動画の再生前(プレロール)や再生中(ミッドロール)、再生後(ポストロール)に配信される広告です。再生開始から5秒経つと、広告をスキップできるボタンが表示されるようになります。
全体の長さは15秒~3分が推奨されており、料金は広告が最後までもしくは30秒視聴された場合、あるいは動画がクリックされた場合に課金されます。
広告の内容に関心を持ってくれた視聴者に対してのみ課金されるため、ブランドの認知に繋がりやすく、費用対効果の高い広告だと言えるでしょう。ただし、最後まで見てもらうためには、最初の5秒でいかにユーザーを惹きつけるかが重要になります。
スキップ不可なインストリーム広告
「ノンスキッパブル広告」とも呼ばれ、視聴者が自分ではスキップできない広告です。スキッパブル広告と同様に、動画の再生前・中・後に流される15秒以下の広告で、ユーザーが動画の視聴を続けるためには、最後まで広告を見なければなりません。
伝えたいメッセージをユーザーに最後まで見てもらえるので、商品やサービスの認知に繋がる反面、「動画視聴を邪魔された」と、ネガティブなイメージを抱かれやすいというデメリットも。費用は広告のインプレッション数に応じて発生します。
バンパー広告
前述のインストリーム広告と同じく、動画の再生前後や再生中に配信される6秒以下の広告で、ユーザーの側でスキップすることはできません。短いため視聴者のストレスになりにくく、最後まで見てもらいやすいのがメリットだと言えるでしょう。
スキップ不可のため、商品やサービス、ブランドを認知してもらいやすいのも魅力です。バンパー広告の料金は、インプレッション数に応じて課金されます。
アウトストリーム広告
モバイル端末でのみ配信される動画広告で、YouTubeの中で流されるのではなく、Google動画パートナーの提携を受けたWEBサイトやアプリ上で配信されます。最初は音声なしでスタートし、視聴者がクリックするとミュートが解除されます。
料金は動画が50%以上の広告面積が2秒以上以上表示された場合にのみ発生し、他の広告よりもリーズナブルな費用で配信することが可能です。
インフィード広告
動画の再生場所以外に表示される広告です。基本的には広告動画のサムネイルやテキストで構成されており、検索結果や関連動画と並べて、あるいはモバイルアプリのトップページに表示されます。視聴者がクリックすることにより、広告動画が再生される仕組みです。
ユーザーが能動的にクリックすることで配信されるため、動画の視聴を邪魔することがなく、ネガティブな印象を持たれにくいのがメリットです。
興味を持った視聴者に見てもらえるので、商品やサービスの購入・利用や比較検討に繋がりやすいと言えるでしょう。料金はユーザーがクリックして視聴した場合にのみ発生します。
マストヘッド広告
YouTubeのホーム画面の一番上に表示される動画広告で、音声なしで30秒間自動再生されます。目立つ場所に表示されるためユーザーの目に留まりやすく、多くのユーザーにリーチできるのが魅力です。
ただし、対象となる視聴者を絞れないので、ターゲティングが必要な広告には向きません(国別に配信エリアの指定はできます)。短期間に不特定多数のユーザーに見てもらいたい広告、例えばイベント開催や新商品発売などの告知には効果的です。
予約ベースでのみ利用可能なため、Googleの営業チームとのコンタクトが不可欠です。なお、料金はインプレッション数に応じて課金されるほか、固定の日別単価によっても発生します。
ショート動画広告
最近特に若い世代で人気の、縦型フォーマットの動画です。最大60秒という短い尺で、TikTokやInstagramのストーリーズのような感覚で手軽に見られることもあり、急速にユーザー数が拡大しています。
隙間時間などにスマホで気軽に見てもらう前提で、短時間でも記憶に残る、インパクトのある映像制作が求められます。ハッシュタグを活用して、チャンネル内にある長尺の動画など、より詳しい広告へと誘導する使い方も。
1日あたりの総再生回数は、なんと300億回を超えると言われており、ブランド認知に威力を発揮すること間違いなし。今後の動きが注目される広告枠です。
※2024年1月時点では、YouTubeショート動画広告の単体での広告配信はできません。動画アクションキャンペーンやアプリキャンペーンなどの広告タイプであることが、ショート動画広告配信の条件となります。
2.YouTube広告のメリット・デメリット
前述のように種類も多く、マーケティング効果も高いYouTube広告ですが、メリットが多い反面、デメリットも存在します。ここではYouTube広告のメリット・デメリットについてご案内します。
メリット
・目と耳で伝わるため記憶に残りやすい
映像や音声でインプットされた情報は、文章だけのものよりも記憶に残りやすいという特徴があります。ブランドや商品・サービスについて、ユーザーに覚えてもらいやすいのが、YouTube広告の大きなメリットです。
・ユーザー数が格段に多いため、リーチ数も期待できる
他の動画配信サービスに比べ、ユーザー数が多い点も忘れてはなりません。2023年3月のデータによると、YouTubeの1日のアクティブ数は、世界で1億2千万人を超えているそうです。見てくれる人の母数が大きければ、それだけ大きなリーチの獲得に繋がります。
・豊富なターゲティング方法が活用できる
年齢や性別、居住する地域はもちろん、ライフスタイルや趣味・嗜好などをキーワードで細かく設定できるほか、ターゲットに関連した動画にだけ広告を掲載する「プレースメントターゲティング」も可能です。
・目的やマーケティングファネルに合わせた広告配信ができる
ブランド認知やリーチ獲得、比較・検討など、目的に応じた広告の配信が行えます。
・無駄なコストが発生しない
クリック数やインプレッション数に応じて課金されるため、無駄なコストが発生しません。
・配信後に詳細な効果検証ができる
再生数や再生時間、インプレッション数、クリック数などの配信データが得られるため、広告配信の効果を具体的に検証することで、今後のパフォーマンスの改善に繋げられます。
デメリット
・動画をスキップされやすい
スキップ可能な広告の場合、動画視聴を優先する視聴者にスキップされやすく、最初の5秒で視聴者の興味や関心を得られるだけの、インパクトある動画の制作が求められます。
・ネガティブなイメージやストレスを与えてしまう
「動画のいいところで広告を挟まれた」「視聴を邪魔された」など、ユーザーにストレスを与えてしまい、企業ブランドや商品・サービスへのネガティブなイメージが生まれてしまうリスクがあります。
・動画の制作費用がかかる
視聴者を惹きつける、効果的な広告動画を作るためには、しっかりとしたノウハウを持つ制作会社に依頼するの費用が必要です。
・効果検証に専門的な知見が必要になる
配信後の効果検証を的確に行い、今後に生かしていくためには、専門家によるアドバイスが欠かせません。
3.マーケティングファネルごとの最適なYouTube広告とは?
これまで見てきたように、一口にYouTube広告と言っても様々な種類があり、それぞれに特色があります。ここではそれぞれのマーケティングファネル(※)に最適なYouTube広告のフォーマットについて見ていきましょう。
※マーケティングファネルとは、商品・サービスの認知から購入に至るまでの、顧客の行動プロセスを図式化したものです。
商品やブランドの認知を向上させたい!
ユーザーに商品やブランド、サービスを知ってもらうには、短い動画の中で視聴者にインパクトを植え付ける必要があります。まず「目に留めてもらう」「覚えてもらう」ことが重要なのは言うまでもありません。
そこで「積極的にリーチを引き寄せる」には、以下の広告フォーマットがおススメです。
・インストリーム広告(スキップ可能・スキップ不可)
・バンパー広告
・アウトストリーム広告
・マストヘッド広告
見込み客の興味を引きつけたい!
ブランドを認知し興味を持ってくれた見込み客の「もっと知りたい」という意欲に応え、さらなる情報を提供します。商品やサービスへの関心が高いユーザーにリーチし、販売促進に繋げるには、視聴者が能動的にクリックすることで配信される、以下の広告フォーマットが適しています。
・インフィード広告
※「動画リーチキャンペーン(VRC)」を活用しよう!
リーチ獲得のためにぜひ活用したいのが、Googleが用意している「動画リーチキャンペーン(Video Reach Campaigns)」です。これは広告を個別に配信するのではなく、複数のフォーマットに同時に出稿することで、最大限にリーチを獲得しようというサービスです。
具体的にはバンパー広告とインストリーム広告(スキップ可能・スキップ不可)で配信し、効率的なリーチ獲得に繋げます。YouTube動画の再生ページだけでなく、Google動画パートナーにも配信されるため、認知の向上も期待できます。
商品やサービスの比較・検討を促したい!
商品やサービスへの関心を持ってもらったら、次は購入に向けて競合他社との比較・検討をしてもらえるように促す広告が必要です。この段階では視聴者により多くの情報を提供し、特徴やメリットをしっかり伝えることが求められます。
ユーザーの行動喚起を促すには、能動的に視聴してもらえる、下記のフォーマットがおススメです。
・スキップ可能なインストリーム広告
・インフィード広告
購入やお問い合わせを増やしたい!
直接問い合わせてもらったり実際に購入してもらったりと、コンバージョンを獲得するには、「動画アクションキャンペーン」の活用が有効です。このサービスを利用すると、複数のプラットフォームで配信できるだけでなく、CTAボタンや広告の見出しを入れられるようになり、ユーザーのアクションを促す配信が可能になります。
※「動画アクションキャンペーン(VAC)」とは?
「動画アクションキャンペーン(Video Action Campaign)」とは、Googleが提供しているサービスの一つで、インフィード広告とスキップ可能なインストリーム広告を併用し、効率的なコンバージョン獲得を目指すものです。
また、的確なターゲティングによる広告配信の最適化も図れます。このキャンペーン一つで、YouTubeの持つ様々な配信面で広告を表示できるのも魅力です。
最近の視聴傾向に合わせ、動画再生ページやGoogle動画パートナーだけでなく、ホーム画面やテレビ画面への配信も可能になっています。
4.動画広告クリエイティブの主なフレームワーク
YouTube広告の配信を成功させるために、一番大切なことは何でしょうか。もちろん、動画の撮影や制作も大事ですが、きちんと成果を出すためには、何よりもまず、しっかりとした構成を考えることが重要です。
そこでおすすめなのが、フレームワークの活用です。フレームワークとは動画広告の構成を考える際、基本的な骨組みとなる考え方です。
主なフレームワークとしては、「ABCDフレームワーク」と「CAMSフレームワーク」が挙げられます。ここではそれぞれのアルファベットが意味する、構成の要素をご紹介しておきます。
ABCDフレームワーク
・A(ATTRACT)ユーザーの興味や関心を引きつける
・B(BRAND)自社の商品やサービスを認知させる
・C(CONNECT)ブランドストーリーとユーザーを結びつける
・D(DIRECT)望んでいるコンバージョンをユーザーに促す
CAMS
・C(CATCH)ユーザーの心をつかむ
・A(APPEAL)商品やサービスのメリットやポイントを訴えかける
・M(MOTIVATE)不安を払拭し、購入に向けた動機付けをする
・S(SUGGEST)ユーザーに具体的な行動喚起を促す
まとめ:YouTube広告の種類・特色を理解して、目的に合った広告配信を実現しよう
これまで見てきたように、効果的なYouTube広告を配信するためには、フォーマットの種類やそれぞれの特色を理解した上で、目的に合った構成・内容の広告を制作することが大切です。
これを外してしまうと、せっかくの広告の効果が期待できないだけでなく、視聴者に不快感を与え、商品やブランド、企業のイメージを損なうことにもなりかねません。
ユーザーに好感を持って見てもらえる動画広告の配信を実現するには、確かなノウハウと経験を持つ、プロフェッショナルな制作会社に依頼するのがおススメです。
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