
近年、大企業から中小企業に至るまで、多くのビジネスシーンでオリジナルキャラクターがブランド構築やマーケティング活動に活用される事例が増えています。
競争が激化する市場において、キャラクターは企業やサービスに独自のアイデンティティを与え、消費者の心に残る存在となり得ます。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、単に見た目が可愛らしいイラストを制作する以上の戦略的な視点が不可欠です。
つまり、キャラクター制作は、計画的な投資として捉えるべき活動なのです。
本コラムでは、企業の担当者様がキャラクター制作を成功に導き、その投資対効果を最大化し、同時に陥りがちな問題点を回避するために、事前に知っておくべき「5つのこと」を具体的かつ分かりやすく解説します。これらは、キャラクター制作を検討する上で欠かせない重要なチェックポイントとなります。
・明確な目的設定と戦略の重要性: キャラクターに何を託し、どのような役割を期待するのか。
・キャラクター導入による多大なメリット: 企業やブランドにどのような効果が期待できるのか。
・把握しておくべき制作費用と相場: 適切な予算設定と価値の見極め方。
・失敗を防ぐための制作プロセスと流れ: 成功への道筋を理解する。
・適切なキャラクターデザインの依頼先: 目的にあったキャラクター制作が作れるのか。
これら5つのポイントを深く理解することは、効果的なキャラクター制作を実現するための第一歩です。
戦略もなくキャラクターを作ってしまい、うまく活用できずに、効果がなかったと判断されてしまわないように、本コラムでしっかり準備をした後に、キャラクター制作プロジェクトを進めていきましょう。
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目次
1.目的・戦略なくしてキャラクター作るべからず

キャラクター制作を成功させる上で、最も重要かつ最初に取り組むべきなのが、「明確な目的設定と戦略立案」です。
なぜキャラクターを作るのか、そのキャラクターを通じて何を達成したいのか、そして誰に届けたいのか(ターゲット層)を具体的に定義することが、キャラクターマーケティングを効果的に活用するための基盤となります。
この初期段階での目的設定が曖昧だと、キャラクターのデザインや性格、ストーリー設定といった後のプロセス全体に影響を及ぼし、最終的に期待した効果が得られず、ブランドイメージとの不一致を招く可能性もあります。
具体的には、以下のような点を明確にすることが求められます。
達成したい目標
ブランド認知度の向上、商品・サービスの販売促進、顧客との関係深化、企業イメージの向上、採用活動への貢献など
ターゲット層
年齢、性別、ライフスタイル、興味関心など、キャラクターがアプローチすべき対象者の設定
キャラクターに託す役割・メッセージ
企業の顔としてブランドメッセージや理念を伝える役割、親しみやすさを演出する役割、特定の商品やサービスを象徴する役割など、キャラクターにどのような機能を持たせたいかを定義
このように明確な目的と戦略を最初にしっかりと設定することで、キャラクターと企業のブランドや価値観が合致し、効果的なキャラクターを生み出すことができます。
2.なぜキャラクターが有効?企業にもたらすメリットとは

企業がオリジナルキャラクターを導入することには、多岐にわたるメリットが存在します。これらの効果は、キャラクター制作の初期段階で明確なビジネス目標と戦略を設定し、それに沿ってキャラクターを開発・運用することで最大限に引き出されます。
キャラクター制作によって期待できる主なメリットは以下の通りです。
ブランド認知度・親しみやすさの向上
キャラクターは視覚的に記憶に残りやすく、企業やサービスに対する認知度を高める強力なツールとなります。親しみやすいキャラクターは、消費者の心理的な障壁を下げ、ブランドへの関心や好感を育む効果があります。成功したキャラクターは、まさに企業やサービスの「顔」となり、「あのキャラクターを見れば、あの会社の商品だ」と即座に連想されるほどの存在感を放ちます。
他社との差別化
独自性のあるオリジナルキャラクターは、競合他社との明確な差別化を可能にします。特に類似商品やサービスが溢れる市場においては、キャラクターが持つユニークな世界観やストーリー性が、消費者の選択における重要な判断基準となり得ます。
効果的な情報発信とエンゲージメント向上
キャラクターを介することで、企業からのメッセージをより柔らかく、魅力的に伝えることができます。特にSNSなどのプラットフォームでは、キャラクターが独自の個性を持ち、ユーザーと対話するように情報を発信することで、高いエンゲージメントを生み出すことが期待できます。キャラクターの性格や背景設定がしっかりしていると、投稿内容の企画も立てやすくなります。
長期的なブランド資産としての価値
一度制作され、消費者に受け入れられたキャラクターは、短期的なキャンペーンとは異なり、時間をかけて企業のブランド価値を高め続ける長期的な資産となります。タレントを起用する場合と異なり、キャラクターは加齢によるイメージの変化や、不測の事態によるスキャンダルリスクもありません。これにより、安定したブランドコミュニケーションを長期にわたり展開できます。
スキャンダルリスクの低減
著名人や芸能人を広告に起用した場合、その人物のスキャンダルがブランドイメージに悪影響を及ぼすリスクが常に伴います。しかし、オリジナルキャラクターであれば、そのような外部要因によるリスクを排除できます。
グッズ展開やIPビジネスへの可能性
キャラクターの人気が高まれば、そのキャラクター自体を商品化し、グッズ販売やライセンス供与といったIP(知的財産)ビジネスへと展開することも可能です。これにより、新たな収益源を確保するとともに、キャラクターの露出機会をさらに増やし、ブランドのファン層を拡大することにも繋がります。
このように、キャラクター制作は、戦略的に正しく活用すれば多くのメリットを享受できる可能性が秘められています。キャラクターのグッズ販売のような直接的な収益に繋がるものや、ブランドイメージ向上や顧客ロイヤルティの醸成といった数値化できない長期的に重要な価値があることを理解しておきましょう。
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3.キャラクター制作の費用はどれくらい?

キャラクター制作を検討する上で、費用は避けて通れない重要な要素です。制作会社やデザインの複雑さ、契約内容など様々な要因によって大きく変動するため、一概に「いくら」と言い切ることは困難です。
しかし、事前に費用の相場感や内訳を理解しておくことで、適切な予算計画を立て、費用対効果の高いキャラクター制作を実現することができます。
費用を左右する主な要因
デザインの複雑さ
シンプルな線画のキャラクターと、細部まで描き込まれたイラストや3Dキャラクターとでは、制作にかかる時間と技術が大きく異なるため、費用も変動します。
ポーズ数・バリエーション
基本となる正面ポーズのみか、複数のポーズ、表情、服装のバリエーションを制作するかによって費用が変わります。一般的に、1ポーズ追加ごとに5,000円〜の追加費用が発生することがあります。
制作者の実績
依頼するイラストレーターによっても金額は変わってきます。よく目にするようなキャラクターを描いている著名なイラストレーターであれば高額になる場合もありますが、制作会社に所属するイラストレーターなどであれば、比較的費用を抑えながら、企画提案から品質管理、進行管理まで一括して任せられる安心感があります。豊富な実績や専門知識を持つプロフェッショナルによる質の高い制作が期待できます。
修正回数
通常、初期の見積もりには一定回数の修正が含まれていますが、それを超える場合は追加費用が発生することが一般的です。
利用範囲・権利譲渡
キャラクターの使用範囲(Web限定、印刷物、グッズ展開など)や、著作権の譲渡を含むかどうかは、費用に大きく影響します。著作権譲渡を希望する場合、別途費用が発生するのが一般的です。
一般的な費用相場
それではキャラクター制作が実際にどのぐらいの費用がかかるのか見ていきましょう。一般的に外部のデザイン制作会社やフリーランスに依頼することが多いため、ここでは、プロに依頼した場合の費用の相場をまとめてみました。
依頼先 | 費用 | デザイン | 諸条件 | 注意点 |
フリーランス | 50,000円〜100,000円程度 | 2Dキャラクターなど | 基本ポーズ1点、ラフ案複数点、修正数回など | ・イラストレーターによってスキルの差が大きい。 ・長期的な運用が難しい場合がある。 |
デザイン制作会社 | 100,000円〜500,000円程度以上 | 2Dキャラクター/3Dキャラクターなど | 複数ポーズ、コンセプト提案、修正対応、進行管理など | ・キャラクターの複雑さや点数などにより高額になる場合がある。 |
著名なイラストレーター | イラストレーターによる | イラストレーターによる | イラストレーターによる | ・著作権譲渡は基本ない場合が多い。 ・納品まで時間がかかる場合がある。 |
費用の内訳
キャラクター制作の見積もりには、主に以下の項目が含まれまるのが一般的です。
デザイン費
キャラクターの基本的なデザインを作成するための費用です。キャラクターの世界観や設定、ラフ案やポーズの種類などが含まれています。
ディレクション費
プロジェクトの進行管理や品質管理、クライアントとのコミュニケーションなどにかかる費用で、特に制作会社に依頼する場合に含まれることが多いです。
修正費
契約で定められた回数を超える修正作業が発生した場合の追加費用です。特にキャラクターの清書後の修正は、やり直しとなってしまう場合もあるため注意が必要です。
ポーズ追加費
基本ポーズ以外に追加でポーズを制作する場合の費用です。
著作権譲渡料
制作されたキャラクターの著作権を依頼元企業が譲り受けるための費用です。これを支払わない場合、キャラクターの自由な利用が制限される可能性があるため、非常に重要な項目です。
商標登録代行費
キャラクターを商標として登録する際に、特許事務所などに代行を依頼する場合の費用です。
4.キャラクター制作の基本的な流れ

キャラクター制作は、依頼者と制作者との共同作業であり、密なコミュニケーションと相互理解が成功の鍵となります。
そのため、キャラクター制作を制作会社に依頼する際には、どのような手順で進行していくのかを理解しておくことで、スムーズな進行と期待通りの成果が得られるようになります。制作会社やクリエイターによって細部は異なりますが、一般的には以下のような流れで進められます。
STEP1 ヒアリング・要件定義の重要性
この初期段階での情報共有の質が、キャラクター制作の成否を左右すると言っても過言ではありません。
「1.目的・戦略なくしてキャラクター作るべからず」で解説したとおり、企業側は、キャラクターを通じて何を達成したいのか(目的)、誰に届けたいのか(ターゲット層)、どのようなイメージを伝えたいのか、具体的な活用シーン、キャラクターに設定したい性格や背景、参考にしてほしいデザイン、逆に避けてほしい表現などを、できる限り詳細かつ明確に伝える必要があります。
この「依頼前の準備」が不十分だと、制作者は手探りで作業を進めることになり、結果として多くの修正が発生したり、期待と異なるキャラクターが生まれてしまうリスクが高まります。
STEP2 見積確認と契約締結
ヒアリングをもとに作成された見積書や契約書などはこの段階で制作会社からもらうようにしましょう。
ラフ案・ポーズの数、納期、修正回数、著作権など、事前にすり合わせた内容と齟齬がないかを念入りに確認します。
見積については、「3.キャラクター制作の費用はどれくらい?料金相場と内訳」で説明したとおり、費用の内訳や金額が記載されていますが、予算と合わないようであれば制作会社に相談してみましょう。
見積と契約書がともに合意に至れば契約を締結します。
STEP3 ラフデザイン案の確認とフィードバック
制作者からは複数の異なる方向性のラフデザイン案が提示されます。この段階は、キャラクターの基本的な骨格や方向性を決定する非常に重要なフェーズです。
企業側は、単に「好き・嫌い」で判断するのではなく、当初設定した目的やターゲット層に合致しているか、ブランドイメージと整合性が取れているかといった戦略的な視点で評価し、具体的かつ建設的なフィードバックを返すことが求められます。
大幅な方向転換が必要な場合は、このラフ段階で伝えるのが最も効率的です。
STEP4 デザイン修正の進め方
契約時に修正可能な回数や範囲が定められていることが一般的です。修正を依頼する際は、曖昧な表現を避け、修正してほしい箇所とその理由、具体的な改善イメージを明確に伝えることが重要です。
関係者間での意見がまとまらないまま断片的な修正指示を繰り返すと、いたずらに時間とコストを浪費することになりかねません。
STEP5 最終デザイン完成・データ納品
修正されたデザインを確認し、問題がなければ最終デザインとして承認します。制作会社は承認されたラフデザインを元に清書を行い、契約時に指定したポーズや表情のバリエーションなどを作成していきます。
事前に取り決めたキャラクターすべての制作が完了したら納品となります。納品データはai,.psd,.pngなどのように様々なファイル形式があるため、納品データの形式もヒアリング・契約時に確認しておきましょう。
STEP6 スタイルガイドの活用
キャラクターが完成した後、そのブランドイメージや一貫性を長期的に維持するためには、「スタイルガイド」の作成が非常に有効です。
スタイルガイドとは、キャラクターの基本的なデザイン規定(カラーパレット、フォント、最小表示サイズなど)、使用可能なポーズや表情、使用禁止例、キャラクターの性格や世界観などをまとめたルールブックのようなものです。
特に、複数の部署や外部の制作会社がキャラクターを使用する可能性がある場合、このスタイルガイドがあることで、誰が扱ってもキャラクターのイメージを損なうことなく、統一感のあるブランドコミュニケーションを展開できます。
初期費用はかかりますが、長期的なブランド資産としてキャラクターを育成していく上では、非常に価値のある投資と言えるでしょう。
5.キャラクター制作はどこに依頼すべきなのか

「3.キャラクター制作の費用はどれくらい?料金相場と内訳」でご紹介したように、キャラクター制作を依頼する場合は、フリーランス、デザイン制作会社、その他自社で制作するなどの選択肢があります。
キャラクターを制作して何がしたいのかという目的や、キャラクターを制作した後の展開などを考慮し、適切な依頼先を選定しましょう。
おすすめは、やはり安定したクオリティや対応力が期待できるデザイン制作会社です。コスト面ではフリーランスのほうが魅力的ですが、デザイン制作会社はチームとして動いていることが多いため、トラブルの原因となりやすい納期や著作権の契約内容など安心して依頼することができます。
イラストレーターが所属する制作会社が運営するキャラクリエでは、イラストレーターが案件ごとに専任担当します。そのため、コミュニケーションをスムーズに行うことができ、ご要望も確実に反映されやすくなります。
キャラクリエの費用感は以下の通りです。
プラン | 内容 | 費用 | 備考 |
Aプラン | 清書+固定1ポーズ | 30,000円〜 | ※キャラクターの下書きをご支給ください |
Bプラン | キャラデザイン3案+清書+固定1ポーズ | 50,000円〜 | ※ご要望をもとに、キャラデザザイン3案+清書+固定1ポーズ |
Cプラン | キャラデザイン5案+清書+3ポーズ | 80,000円〜 | ※ご要望をもとに、キャラデザザイン5案+清書+3ポーズ |
Dプラン | ご要望をもとに、世界観、設定、複数キャラ(5体まで)で作成可能なオーダーメイド色が強いプラン。 | 200,000円〜 | ー |
オプション | キャラクターのアニメーション動画制作、3D化、VRM化、グッズ展開などキャラクターを活用した施策は多数ございます。 | ご相談ください。 | ー |

まとめ:魅力的なキャラクターを制作し、ビジネスを成功に導くために
本コラムでは、企業がキャラクター制作を依頼する前に知っておくべき5つの重要なポイント、「明確な目的設定と戦略」「期待できるメリット」「制作費用と相場」「制作プロセスと流れ」、そして「適切な依頼先」について解説してきました。
これらは、キャラクター制作を単なるイラスト発注ではなく、戦略的なビジネス投資として成功させるための基盤となる知識です。
計画的に制作され、法的に適切に権利保護されたキャラクターは、ブランド認知度の向上、他社との差別化、顧客エンゲージメントの強化、そして時には新たな収益源の創出といった多大な恩恵を企業にもたらす、強力かつ長期的な戦略的資産となり得ます 。
これらのポイントを事前にしっかり理解することで、制作会社とのトラブルの回避や制作プロセスにおけるスムーズな進行が実現します。
ぜひ、本コラムを参考に自社のビジネスを加速させるキャラクター制作に取り組んでみてはいかがでしょうか。
もし、ビジネスを成功に導くための最適なキャラクターを制作し、その効果を最大限に引き出したいとお考えでしたら、ぜひ一度バドインターナショナルにご相談ください。
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