
多くの企業が、オリジナルキャラクターを制作し、商品・サービスのPR(キャラクターマーケティング)や、ライセンス展開による新たな収益化(キャラクタービジネス)を目指しています。
その一方で、「キャラクターを作ったものの、いまいち活用しきれていない」「単なるイラストで終わってしまっている」といった、キャラクター運用に関する課題を抱える企業が多いのも事実です。
コストをかけてキャラクターを制作しても、それが企業の資産として機能しなければ意味がありません。このようにキャラクターが機能しない背景には様々な要因が考えられますが、見落とされがちなのがキャラクタープロフィールの設定の甘さです。
本記事では、単なるキャラクター制作に留まらず、そのキャラクターが顧客に愛されるための「キャラクタープロフィール」の作り方を、独自の視点を交えて徹底解説します。
見た目のデザインだけでなく、キャラクターに「命」や「魂」を吹き込むための設計図を、ぜひ自社のキャラクターマーケティングの参考にしてみてください。
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目次
1.企業キャラクターに「プロフィール」が必要な理由

キャラクターの価値は、ビジュアルデザインだけで決まるわけではありません。むしろ、その背景にある「プロフィール」こそが、キャラクターに命を吹き込み、長期的なファンを獲得するための鍵となります。なぜ、それほどまでにプロフィールが重要なのでしょうか。
「共感」と「愛着」を生む性格
企業キャラクターを作成する際、どうしても見た目にこだわってしまうあまり、プロフィールを後回しで考えがちです。
しかし、キャラクターへの共感や愛着は、人間関係と同じように、その性格や背景設定が大きく影響します。消費者は、キャラクターの内面的な魅力に好意を寄せ、感情移入することで、そのキャラクターや関連商品への関心を深めるのです。
例えば、「新しいことに挑戦するのが好きで、たまにドジもするけれど、絶対に諦めない」というプロフィールを持つキャラクターは、単に「可愛い」という印象だけでなく、顧客が自身の経験と重ね合わせたり、応援したいという気持ちを抱かせたりします。このような共感や愛着は、商品やサービスへの信頼感を醸成し、LTV(顧客生涯価値)の向上にも繋がります。
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キャラクターの世界観の構築
キャラクターにおける「世界観」とは、そのキャラクターが存在し、活動する舞台や背景設定の総体を指します。物語が展開していくための重要な土台となるものです。
キャラクターが「どこで生まれ」「何を目指し」「どんな困難に立ち向かっているのか」といった設定は、キャラクターの性格や行動に説得力を持たせ、深みを与えるために不可欠です。
また、SNS投稿、ブログ記事、動画コンテンツなど、あらゆる情報発信のネタになり、長期的な運用を考えたときにも世界観の構築は重要な設定となります。
一貫したブランドイメージを保持
キャラクター運用には、SNSの更新、デザイン制作、企画立案など業務が多岐にわたるため、一人のスタッフで全てを担うのは困難です。
そのため、キャラクターを複数の担当者で運用したり、外部の制作会社にコンテンツ作成を依頼したりしますが、その時々でキャラクターの言動や性格にブレが生じてしまう危険性があります。
キャラクターにブレが生じてしまうと、キャラクターの魅力が失われ、ブランドイメージの毀損を招きかねません。誰が運用しても「そのキャラクターらしい」一貫したアウトプットを保つことが必要になります。
2.戦略的キャラクタープロフィールの設計ステップ

それでは具体的にどのような項目を設定すれば、魅力的なプロフィールが作れるのでしょうか。
基本的な項目から、キャラクターに深みを与える応用的な項目までの17項目を紹介します。
名前・年齢
最低限の項目です。名前も覚えやすくキャッチーな名前を選定しましょう。
名前の由来
企業の理念や商品の特徴にちなんだ名前かなど、何かしら意味のある名前が良いでしょう。
誕生日
誕生日を設定することで、その月にキャンペーンを設定したり、SNSなどでの発信に幅が広がります。
出身地
企業の創業地や、商品の主要な原材料の産地など、企業と関連性を持たせます。
身長・体重
他のキャラクターとの対比や、親近感の演出に。着ぐるみなどの作成時にも役立ちます。
性格
顧客にどのような企業だと思われたいかを考え、キャラクターの性格に反映させましょう。
長所・短所
「丁寧で誠実だけど、少し頑固」「革新的だけど、たまに空回りする」など、人間味のある設定が共感を呼びます。
好きなこと・嫌いなこと
商品やサービスに関連付けると良いでしょう。例えば、健康食品のキャラであれば「早起きして散歩するのが好き」など。
大切にしている価値観
「お客様の笑顔が一番」「環境を守ること」など、企業のビジョンを代弁させます。
将来の夢
「世界中の人を自社製品で幸せにすること」など、壮大な夢を語らせます。
過去の経験
なぜ今の仕事(PR活動)をしているのか?過去の失敗談や成功体験を設定します。
コンプレックスや弱点
誰もがもっているような親近感を抱かせる弱点で、「完璧」ではない部分を見せることが重要です。
口癖や決め台詞
語尾に特徴をもたせた口癖や、ここぞ言うときに使うキャッチフレーズなど、キャラクターを象徴する言葉は、顧客の記憶に強く残ります。
人間(企業)関係
キャラクターが一人で存在するのではなく、社会の中で誰かと関わっている設定にすることで、世界観が広がります。
家族構成
主役のキャラクター以外を設定することでバックボーンが強くなります。展開の幅も広がっていきます。
友人・ライバル
他社のキャラクターでもいいのですが、積極的に横のつながりを作っていくことで、新たな一面を見せることができます。
顧客との関係性
先生的な位置づけ、同じ目線の仲間など、顧客やユーザーとどのようなスタンスで接するのか定義します。
3.【業界別】刺さるキャラクター人格の作り分け

それぞれの業界が求める価値観や文化をキャラクターに投影することで、顧客や求職者の共感を深く得ることができます。
ここでは、具体的な業種を例に挙げ、それぞれのターゲットに最も効果的にアピールできるキャラクター人格の作り分けについて解説します。
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IT・テクノロジー業界
効果的な人格:「未来志向のナビゲーター」
この業界は、革新性、スピード感、そして専門性が求められます。キャラクターには、専門家気質でありながらも、難しい技術を分かりやすく解説してくれる親しみやすさが効果的です。常に新しいことにワクワクしており、ユーザーを未来へと導いてくれるような、知的で好奇心旺盛な性格が信頼と興味を引きつけます。
金融・保険業界
効果的な人格:「堅実で信頼できるアドバイザー」
顧客の大切な資産を扱うこの業界で最も重要なのは「信頼」と「安心感」です。キャラクターは、誠実で落ち着きがあり、決して嘘をつかない堅実な人格が求められます。派手さや軽薄な印象を避け、物腰柔らかく、顧客の将来を真剣に考えてくれるような、頼れるパートナーとしての人格が顧客の信頼を勝ち取ります。
食品・飲食業界
効果的な人格:「親しみやすい食いしん坊」
「食」の楽しさや美味しさを直感的に伝えることが重要です。明るく元気で、食べることが大好きという分かりやすい性格が共感を呼びます。少しおっちょこちょいな面を見せるなど、親近感の湧くキャラクターが、消費者との距離を縮め、「このキャラクターがおすすめするなら美味しいに違いない」と感じさせます。
建設・不動産業界
効果的な人格:「頼れる職人肌のリーダー」
安全性や技術力が重視されるこの業界では、力強さ、責任感、そして真面目さが伝わる人格が適しています。口数は少なくても仕事はきっちりこなす職人気質や、安全第一で現場をまとめるリーダーのようなキャラクターは、顧客に「この会社に任せれば安心だ」という強い信頼感を与えます。
教育・学習サービス業界
効果的な人格:「知的好奇心旺盛な先生・先輩」
ユーザーの「学びたい」「成長したい」という意欲を引き出すことが目的です。キャラクターには、優しく教えるのが上手で、知的好奇心が旺盛な「先生」や「先輩」のような人格が理想的です。学ぶことの楽しさを伝え、ユーザーの成長を心から応援してくれるような温かい姿勢が、サービスの利用継続に繋がります。
4.キャラクタープロフィール作成で陥りがちな失敗と回避策

最後にキャラクタープロフィールを作成する上で多くの企業が陥りがちな失敗と、それを避けるためのポイントを解説します。
せっかく作ったキャラクターとプロフィールを台無しにしないためにも注意が必要です。
「完璧」すぎるキャラクター
キャラクターを魅力的にしようと意気込むあまり、あらゆる長所を盛り込んでしまい、結果として弱点のない完璧な『優等生』になってしまう傾向があります。
「2.戦略的キャラクタープロフィールの設計ステップ」でも説明しましたが、コンプレックスや弱点を設定することで人間らしさが演出され、親しみを感じ応援したくなるものです。
企業からの一方的なメッセージ
せっかくキャラクターを作ったのに、広告のように企業や商品の宣伝ばかりしていては、顧客はうんざりしてしまいます。
企業キャラクターの運用の肝は、企業や商品の「象徴」として、長年にわたって愛されるキャラクターに育てて、ファンになってもらうことが重要です。
キャラクター自身の言葉で、日常の出来事をつぶやいたり、顧客と雑談したりするなど、コミュニケーションの余白を作っていきましょう。
キャラクター運用の計画がない
愛らしいキャラクターと詳細なプロフィールを作っても、それを活用する場がなければ宝の持ち腐れです。
キャラクターをどのようにコンテンツ(SNS、ブログ、動画など)で活用していくか具体的な活用計画まで落とし込みましょう。
さらに読む:キャラクターアニメーション
臨機応変な対応ができない
ユーザーからの予期せぬ質問や、SNS上のトレンドに対して、設定にないからと無反応になったり、用意された定型文でしか返せなくなります。これにより、生き生きとした対話が生まれず、ファンとの距離が縮まりません。
キャラクターが「絶対にしないこと」「言わないこと」を明確に定義するなど核の部分のみ定めて、あとは運用者に自由に発信してもらう柔軟な対応ができる余白を残しておきましょう。

まとめ:愛されるキャラクターの鍵はプロフィールの設定で決まる!
キャラクターにおけるプロフィール設計について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。本記事では、企業PRにおけるキャラクタープロフィールの重要性と、その具体的な作成方法、そして業界別の人格の作り方までを解説しました。
ご紹介したとおり、見た目が可愛いだけの単なるイラストで終わらないために、しっかりとしたプロフィールを設定することが重要です。
キャラクターの名前だけでなく、長所や短所、価値観、弱点といった細かいプロフィールを設定することで、まるで生きているかのようなリアリティが生まれます。その結果、顧客はキャラクターに親近感を抱き、企業との間に深い絆が育まれていくのです。
ぜひ、本記事を参考に、あなたの会社の製品やサービスの魅力を伝え、顧客から深く愛される唯一無二のキャラクターを育てていってください。そのキャラクターは、きっとあなたのビジネスにとって最高のパートナーとなってくれるはずです。
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