
スマートフォンでの動画視聴が主流となっている今、縦型動画はSNS集客に取り組む企業にとって不可欠なツールとなっています。
縦型動画で代表されるTikTokやInstagramリールとストーリーズ、YouTubeショートなどは、今や私たちの生活にすっかり定着しました。単なる暇つぶしのエンタメとしてだけでなく、商品購入のきっかけになるほど大きな影響力を持っています。
そういった背景から、多くの企業がSNS動画マーケティングによる集客効果に注目しています。
しかしその一方で、
「SNSでの集客を強化したいが、何から手をつければ良いかわからない…」
「縦型動画が人気なのは知っているけど、具体的にどうビジネスに活用すればいいの?」
など、新たな集客の柱を模索しながらも具体的なノウハウ不足に悩む担当者様が多いのが現状です。
本記事では、なぜ今、縦型動画がこれほどまでに人気を博しているのか、その理由から具体的な活用方法、メリットとデメリット、効果的な集客手段まで徹底的に解説します。
この記事を理解することで、効果的なSNS集客を実現するための行動に移すことができるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
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目次
1.縦型動画の現状と人気の理由

まずは、なぜ今縦型動画が注目されているのか解説していきます。縦型動画が人気となっている背景には社会的、心理的、技術的要因など複数の理由があります。
スマートフォンに最適化された視聴体験
最大の理由は、スマートフォンの利用が前提となっている点です。縦型動画は、スマートフォンを普段利用するときと同様に、縦のままで画面全体に表示されるため、ストレスフリーでコンテンツを視聴できます。
この手軽さと、非常に没入感の高い視聴体験が、縦型動画が人気の最大の理由となっています。
可処分時間の奪い合いに有利
現代人は常に多くの情報に晒されており、一つのコンテンツにかけられる時間は非常に短くなっています。
いわゆる”タイパ”を重視する現代人にとって、スマホで手軽に視聴できる縦型動画のコンテンツは理にかなっていると言えるでしょう。
また、縦型動画を導入しているプラットフォームでは、独自のアルゴリズムによってユーザーの興味関心に合わせた動画を次々と推薦してくれるため、ユーザーは飽きることなく長時間滞在してしまうのです。
60秒程度のショート動画の台頭
TikTokの登場以降、Instagramは「リールやストーリーズ」、YouTubeは「ショート」など、縦型動画は主に短めの尺の動画がメインとなっています。
「可処分所得の奪い合いに有利」の中で解説したとおり、タイパを重視する現代人にとっては、短時間で要点を伝え、次々と新しい動画を提供してくれるショート動画フォーマットがユーザーの心を掴みました。
さらに読む:ショート動画(縦型短尺動画)の魅力
「検索する」から「発見する」へ
縦型動画のアルゴリズムは「出会ってしまう(発見)」体験を提供します。
ユーザーの行動は、自ら情報を探す「検索」から、より受動的で直感的なものへと変化しています。ユーザーがスマートフォンをスワイプしていく中で、プラットフォームのアルゴリズムによって興味関心のあるコンテンツが次々と出てくることで、新たな発見や出会いが期待できるようになりました。
これは、企業にとっては全く新しい顧客層にリーチできる大きなチャンスを意味します。これまで自社の製品やサービスを知らなかった潜在顧客に、その魅力や価値を直感的に伝えることが可能なのです。
エンゲージメントが高く、拡散されやすい
縦型動画は、スマートフォン画面いっぱいに広がるため没入感が高く、視聴者の心を惹きつけます。
この体験が視聴完了率とエンゲージメントを高め、結果として共感を呼ぶ動画はSNS上で自然と拡散され、大きな影響力を持つようになります。
2.企業が縦型動画を活用するメリットとデメリット

縦型動画の現状や特徴を踏まえたうえで、具体的なメリットやデメリットを見ていきましょう。
注意する点としては、SNSは手軽さが魅力ですが、企業が活用する際はその手軽さが裏目に出ることもあります。不適切な投稿一つでブランドイメージが大きく傷つくリスクがあるため、個人の利用とは異なる厳格な管理が求められます。
4つのメリット
低コストで始められる手軽さ
商品やサービスのプロモーション動画を作成する際には、多くのスタッフや撮影機材、編集ソフトなど多くの費用と日数がかかります。
しかしSNSプラットフォーム、特に縦型動画の多くは、スマートフォン1台で撮影から編集、アップロードまで完結できます。
この手軽さは、人件費も機材費などもカットすることができ、他のマーケティング手法にはない大きなメリットです。
ブランドへの親近感と信頼が生まれる
人気のある縦型動画は、日常を映し出したような手作り感のある動画が多い傾向があります。
作り込まれた、いわゆる広告色の強い動画より、「中の人」が見える親近感のあるコンテンツの方が、リアルで正直な印象を与え、企業のファンを増やし、長期的な信頼関係の構築に繋がるのです。
とはいえ、すべてがラフな映像が良いかというとそうではありません。自社のブランドイメージに合っているか、届けたいターゲット層に合っているかなど確認は必要になるでしょう。
拡散力とバイラル効果
縦型動画のアルゴリズムは、フォロワー数に左右されず、コンテンツの面白さや質を評価して拡散されるため、誰にでも大きなチャンスがあります。
この特性により、大企業だけでなく、中小企業やスタートアップでも、質の高い動画が一本あれば爆発的に認知度を高めることが可能です。
縦型ショート動画広告の世界では、多額の予算よりも、優れたクリエイティブが勝ります。急拡大するこの市場では、ユーザーから高いエンゲージメントを得て、大きな成果を上げるために最も重要なのは、広告費の量ではなく動画そのものの質です。
高い視聴完了率とエンゲージメント
縦型動画はスマートフォンの画面占有率が100%になるため、ユーザーの注意を惹きつけやすいという大きな利点があります。
余計な情報が画面に入らず、ユーザーの集中を妨げないため、コンテンツへの没入感が高まり、最後まで離脱せずに視聴してもらいやすくなります。
その結果として「いいね」「コメント」「シェア」「保存」といったエンゲージメントを得やすくなります。
3つのデメリット
炎上リスクの可能性
メリットで解説した通り、縦型動画は拡散力が優れている一方、その特性から一度炎上してしまうと、拡散され続け、被害が拡大しやすい特徴があります。
企業が取り組む際には、企業の信頼やブランドイメージを毀損してしまう、この炎上リスクを避けなければなりません。
世間との倫理観のズレや不適切な発言、起用する著名人の問題などは特に注意が必要です。複数人でチェックする体制や、専門家によるリスク診断が必要となるでしょう。
表現できる情報量が限られる
縦型動画は横幅が狭いため、横型動画に比べて一度に画面に表示できる情報量が少なくなります。
複数の人物や広大な風景を同時に映すのが難しく、伝えたい情報を効果的に見せるためには撮影や編集に工夫が必要なため、プロのカメラマンに依頼することも検討しましょう。
視聴環境が限定される
縦型動画は、スマートフォンでの視聴に最適化されています。そのため、PCでの視聴には不向きで見づらくなります。届けたいターゲット層がPCでの視聴がメインであれば、避けたほうが良いでしょう。
また、没入感が強いため、長時間の視聴はユーザーに疲れを感じさせやすいデメリットもあります。縦型動画はあくまでも短尺のショート動画で作成したほうが適切です。
3.縦型動画の有効的な活用方法

では、実際にビジネスで縦型動画をどのように活用すれば良いのでしょうか。ここでは、多くの企業で活用されている代表的な人気のジャンルを4つ取り上げて解説します。
商品・サービスの紹介動画
商品の使い方やサービスの魅力を、動画で分かりやすく伝える活用法です。
例えば、アパレルでスタッフが新作アイテムのファッションコーディネートを披露したり、化粧品業界での化粧品の使い方を手順にしたがって紹介したりなど多様な業界で展開が可能です。
ビハインド動画
通称、「BTS(Behind-the-Scenes)動画」とも呼ばれるビハインド動画は、製品開発の裏側やプロジェクトの舞台裏など、普段は公開されない部分に焦点を当てたコンテンツです。
例えば、イベント準備や開催中の裏側、働くスタッフの何気ない日常やランチ風景など、リアルな人間の日常を見せることで、視聴者との距離が縮まり、エンゲージメントを深めるのに非常に効果的です。
お役立ち情報(ハウツー)動画
ユーザーの悩みや疑問を解決する「お役立ち情報」などの価値ある情報を発信するのも有効な手段です。
「よくある質問をまとめたFAQ動画」、「トラブルシューティング動画」、「アフターサポート動画」などを用意しておくことで、利用者の顧客満足度向上につながる場合があります。
ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用
UGC(User Generated Content)とは、提供している企業でなく、一般ユーザーが自発的に作成したリアルなコンテンツの事をいいます。
企業が発信するよりも、第三者であるユーザーが発信する情報のほうが、リアルで信頼性が高いと受け取られる傾向にあります。
例えば、ハッシュタグキャンペーンや製品レビューなどでよく見られます。
4.集客に効果的!人気の縦型動画の戦略とは?

当然のことながら、企業がビジネス目的で縦型動画を運用する場合、個人の利用とは異なり、アプローチや達成すべき目的が明確に変わってきます。
ただ闇雲に動画を投稿するだけでは、期待する成果は得られません。ここでは、集客というゴールから逆算した戦略的なアプローチについて解説します。
ゴール(KGI)設定とKPIの明確化
最初に、「何のために縦型動画をやるのか」という目的を明確にしましょう。目的が定まったら、最終的なゴールとKPI(中間指標)を設定します。
例えば、以下のような設定が考えられます。
目的(自社ブランドの認知度を高め、若年層の新規顧客を獲得)
20・30代の女性のファンを増やしたい
ゴール(KGI=目的を達成するための最終的な数値目標)
縦型動画キャンペーンを通じて、3ヶ月で新規顧客のECサイト女性会員登録数を1,000件獲得する
KPI(KGIを達成するための中間的な指標)
動画の月間再生回数:50万回、ECサイトへのクリック数:5,000など
ターゲット顧客のペルソナ解像度を上げる
ペルソナ(具体的な人物像)の解像度が高ければ高いほど、次のステップであるコンテンツ企画がスムーズに行えるようになります。
そのために必ず「誰に」届けたいのかを設定することが重要です。例えば、年齢や性別、居住地、職業、年収、悩みや普段の生活スタイルなど具体的に設定しましょう。
独自のコンテンツを考える
目標とターゲットが決まったら、具体的なコンテンツを考えていきます。
ここで重要なのは、自社ならではの「強み」を出すこと、そして、ターゲットの属性が「好む」表現を考えることです。
他社と似たような動画内容であったり、ターゲットの心に響かない表現では、数ある情報の中に埋もれてしまい視聴者の記憶に残りません。
企画ができたら、投稿頻度や曜日、時間帯などを定めた配信計画も考え、継続的に発信していく体制を整えましょう。
インフルエンサーを活用
お伝えしたとおり、縦型動画はアルゴリズムによって、おすすめされやすい動画です。しかし、自社アカウントを一から運用していき、人気のあるアカウントやコンテンツを生み出すのは非常に険しい道のりです。
そこで有効なのが、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーと協力する戦略です。
自社のブランドや商品と親和性の高いインフルエンサーに紹介してもらうことで、そのインフルエンサーが持つファンからの信頼を借りる形で、一気に認知度と信頼性を高めることができます。
5.今人気の縦型動画の事例を紹介!
最後に、具体的な企業の成功事例を参考に、どのような動画が人気を集めているのかを見ていきましょう。
「3.縦型動画の有効的な活用方法」を振り返りながら、各企業の活用方法を紹介します。
スターバックスコーヒー
世界最大のコーヒーチェーンであるスターバックスは、世界展開をしている強みを活かしたコンテンツを発信しています。
この縦型動画は、各国代表のバリスタが技術や知識を競い合う大会のコマーシャルで、Instagramなどで印象的な予告動画を配信し、YouTubeでの本編ライブへと誘導することで、世界中のコーヒー愛好家の注目を集めました。
日頃から店舗で接するフレンドリーなスタッフが、世界を舞台に競い合う姿を「応援」してもらうことで、視聴者を巻き込み、ブランドとの感情的な繋がりを深める効果があります。これは、広告費に頼らずファンを増やす、スターバックスならではの秀逸なマーケティング戦略です。
北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」は、Instagramリールを中心に、独自の世界観を伝えるコンテンツでファンを魅了しています。
販売している商品を直接的に紹介するのではなく、その商品がある「丁寧な暮らし」そのものを映像で表現をし、視聴者が「こんな生活を送りたい」と憧れを抱くようなコンテンツ作りが特徴です。
商品を直接的に売るのではなく、ライフスタイルを提案することで、強力なブランドイメージを構築しています。
クラシル
レシピ動画サービスのクラシルは、まさに縦型動画のお手本とも言えるコンテンツが特徴です。
1分程度の短い動画の中に、調理の全工程がテンポよくまとめられており、「これなら自分でも作れそう」と思わせる工夫が満載です。
また、単にレシピを紹介するだけでなく、「節約」「時短」「作り置き」といったユーザーの具体的なニーズに応えるテーマ設定が、高いエンゲージメントに繋がっています。
まとめ:戦略的に縦型動画を活用して、人気コンテンツを生み出そう!
ここまで人気を得るための縦型動画の戦略の立て方や活用方法、企業の成功事例を交えて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
スマートフォンでの視聴が主流の今、縦型動画はユーザーにとって最も身近なコンテンツの一つです。そのメリットや可能性は、多くの方がすでに感じていることでしょう。
成功への鍵は、そのポテンシャルを最大限に引き出すための「戦略」です。本記事で解説したように、自社の強みを活かし、ターゲットを明確にした上で計画的に動画を運用することが、多くの成功事例のような人気アカウントへ成長させる方法です。
まずは手軽に自社で制作を始めるのも一つの手です。しかし、「リソースが足りない」「より高品質な動画で他社と差別化したい」といった場合は、プロの制作会社に相談するのも有効な選択肢となります。
ぜひ、戦略的な視点を持って縦型動画に取り組み、多くの人を惹きつける人気コンテンツを生み出してください。
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