【保存版】代表的な動画ファイル形式10種類を解説!これさえ抑えておけばOK!

「納品された動画データが再生されない」
「指定されたメディアの仕様と違っている」
など動画制作会社から納品されたデータで困ったことがある方も多いのではないでしょうか。

おそらくそのようなトラブルのほとんどが、納品されたファイル形式が違っているのが原因かもしれません。

せっかく素晴らしい動画が出来上がったとしても、納品することができなかった、公開が間に合わなかったとならないように、本記事では納品ファイルについて詳しく解説していきます。

動画制作を依頼する担当者が、自信を持って制作会社とコミュニケーションをはかり、最適な形式で動画を納品してもらうために、ファイル形式の基本構造や特徴、プラットフォーム別の最適な選び方などを本記事で網羅的に学ぶことができます。ぜひ参考にしてください。

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1.動画ファイル形式の重要性

動画のファイル形式とは、動画データをどのように記録・保存するかを定めた規格のことです。

ファイル形式は様々な形式が存在し、それぞれに特徴があります。例えば、特定の形式は高画質を保ちつつファイルサイズを小さくできる一方、別の形式では幅広いデバイスでの再生互換性に優れるといった違いがあります。

企業がプロモーションビデオや動画広告を制作する際、動画の目的や配信媒体を明確にすることが成功の鍵となります。

配信する予定の媒体が未定であったり、曖昧であったりすると、スムーズな進行ができず、それは自社の制作コストにも跳ね返ってくる場合があります。

またターゲットとなる視聴者側がストレスなく視聴できる環境を整えられるといった観点からもファイル形式の選択が重要になります。

2.動画ファイルの基本構造

動画ファイルは、大きく分けて「コンテナ」と「コーデック」の組み合わせで構成されています。
まずはこの二つの役割を理解することが、動画形式を理解する第一歩となります。

コンテナ(ファイル形式)とは?

コンテナとは、映像データ、音声データ、そして字幕などのデータ(メタデータ)を一つにまとめて格納するための「箱」や「器」のようなものです。

動画データ名の最後にある「.mp4」や「.mov」といった拡張子は、このコンテナの種類を示しています。どのコンテナを選ぶかによって、対応する再生プレイヤーや利用できるプラットフォームが変わってきます。

後ほど詳しく解説しますが、主な種類は下記のようなものがあります。

MP4 (.mp4)
MOV (.mov)
AVI (.avi)
WMV (.wmv) など

コーデックとは?

コーデック(Codec)とは、動画や音声データを圧縮・伸長(エンコード・デコード)するためのプログラムです。

撮影されたままの映像データは非常に容量が大きいため、そのままでは保存やインターネットでの配信が困難です。そこでコーデックを使い、データを圧縮してファイルサイズを小さくします。そして再生時には、同じコーデックを使ってデータを元の状態に復号し、映像として表示します。

どのコーデックを使うかによって、画質や音質、そして圧縮率(ファイルサイズ)が大きく変わります。

主な種類は下記のようなものがあります。

H.264 (AVC)
現在最も広く普及しているコーデック。多くのデバイスやプラットフォームでサポートされており、画質と圧縮率のバランスに優れています。Web動画の標準的な存在で、MP4ファイルによく使用されます。

H.265 (HEVC)
H.264の後継規格で、同じ画質であればファイルサイズをH.264の約半分にできます。4Kや8Kといった高解像度動画でよく利用されますが、対応デバイスやソフトウェアがまだ限られています。

Apple ProRes
Appleが開発したプロ向けのコーデック。圧縮率が低い分、非常に高画質で、編集時のPCへの負荷が少ないのが特徴です。主に編集過程やマスターデータの保存に用いられます。

VP9
Google社が開発したオープンソースの動画コーデックで、WebMファイルによく使用されます。H.265と同様に高圧縮率が特徴です。

コンテナとコーデックの関係

上記のコンテナやコーデックは、動画制作会社との打ち合わせ時に話されたり、各媒体やプラットフォームの仕様書に記載されています。

例えば、動画制作会社からどのような形式で納品しますかと言われたときに、「コンテナはMP4、コーデックはH.264で」などと言えるようになるとスムーズに進行できますし、トラブルも起こりにくくなります。

自ら指示をすることが難しければ、動画の作成目的や利用する媒体などを明確にして、事前の打ち合わせで動画制作会社に必ず確認するようにしましょう。

3.主要な動画ファイル形式(コンテナ)の特徴

コンテナと呼ばれる動画ファイル形式は多数ありますが、ここではよく使われる代表的な動画ファイルについて紹介します。

用途や利用する媒体によって、動画ファイルの指定があるのが一般的です。それぞれの特徴や適したシーンをここでしっかりと抑えておきましょう。

MP4/MPEG-4 (.mp4)

現在最も広く普及している動画ファイル形式です。高い圧縮率と画質を両立しており、Windows、Mac、スマートフォン、タブレットなど、ほとんどのデバイスやプラットフォームで再生できます。

【用途・適したシーン】
YouTubeや各種SNSへの投稿、Webサイトへの埋め込み、社内での共有、広告配信など、ほぼ全てのシーンで第一候補となる万能な形式です。

MOV (.mov)

Appleが開発したQuickTime形式のファイルです。MacやiPhoneとの親和性が非常に高く、特に映像のプロが使う「ProRes」などの高画質コーデックを格納できます。

【用途・適したシーン】
最終的な配信用途ではなく、制作過程や納品時の「元データ」として扱われることが多い形式です。画質劣化が少ないため、映像編集の元データ、完成動画のマスターデータ(保管用)、ロゴアニメーションなどの合成用素材などが適しています。

AVI (.avi)

Microsoftが開発した古くからある形式です。非圧縮や低圧縮でデータを保存するため、ファイルサイズが非常に大きくなる傾向があります。

【用途・適したシーン】
Windows環境で広く使われていましたが、近年ではあまりWebでの配信には用いられません。古いシステムや機器で動画を再生する必要があるといった、ごく限定的な場面でのみ使用されます。基本的には避けるべき形式です。

WMV (.wmv)

Microsoftが開発したWindows標準のファイル形式です。ストリーミング配信向けに開発され、コピーガード(DRM)機能を付与できるため、コンテンツの保護が可能です。

【用途・適したシーン】
Windows環境での再生に最適化されており、PowerPointへの埋め込みや、Windows Media Playerでの再生に適しています。

FLV (.flv)

Adobe Flash Playerで再生するための形式です。かつてはWeb動画の主流でしたが、Flashのサポート終了に伴い、現在はほとんど使われていません。

【用途・適したシーン】
現在では使用が推奨されず、MP4形式への変換が一般的です。

WebM (.webm)

Google社が開発したオープンソースの形式で、Webでの利用に特化しています。VP8またはVP9コーデックを使用し、高画質・低容量を実現します。

【用途・適したシーン】
WebサイトにHTML5で動画を埋め込む際にMP4と並んで利用されます。Webサイト上での動画再生に適しているため、多くのブラウザが対応しています。

MKV (.mkv)

「Matroska(マトリョーシュカ) Video File」の略で、複数の映像・音声・字幕データを一つのファイルに格納できる、非常に柔軟性の高いオープンソースの動画ファイル形式です。

【用途・適したシーン】
字幕データとして複数の言語の字幕を格納できるため、世界に配信する動画に適したファイル形式です。ただし、標準では再生できないデバイスもあったり、ファイルサイズが大きく、ストリーミングには向いてません。

MPG/MPEG-2 (.mpg)

高画質を目指した動画圧縮フォーマットであり、MPEG2-TSとMPEG2-PSという2種類に分けられます。MPEG4よりも画質が良いですが、その分ファイルサイズが大きく、Web上での再生には向いていません。

【用途・適したシーン】
MPEG2-PSは、主にDVDやビデオに使用され、MPEG2-TSは、地上波デジタルテレビやブルーレイなどに使用されています。

ASF (.asf)

Microsoftが開発したストリーミング配信用の形式。AVIをベースとして改良した形式で、WMVはこのASFをベースにしています。そのため、DRM機能が付いており、高い利便性を備えています。

【用途・適したシーン】
ストリーミング配信が主な用途ですが、エンコードできるソフトが少なく、現在では他の形式が主流です。

VOB (.vob)

「Video OBject file」の略で、DVDで映像・音声・字幕などを記録するためのファイル形式です。MPEG-2がベースになっています。

【用途・適したシーン】
DVDプレイヤーで再生するための専用形式であり、チャプターメニューを作ることが可能で、好きなシーンにジャンプして再生が可能です。

4.【利用目的別】最適な動画ファイル形式一覧表

動画をどこの媒体・プラットフォームで、どのように使うのかによって最適なファイル形式が異なります。そのため、動画を作り始める前に目的や活用方法をしっかりと決めてから動画制作に取り組みましょう。

ここではプラットフォームごとに推奨される動画ファイル形式を一覧にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

利用目的推奨ファイル形式推奨コーデック(映像/音声)ポイント
自社WebサイトMP4 / WebMH.264 / AACページの表示速度を損なわないよう、ファイルサイズを適切に圧縮することが重要。
YouTubeMP4H.264 / AACYouTubeはアップロードされた動画を自動的に最適化してくれますが、できるだけ高画質な元データ(高ビットレートのMP4など)をアップロードするのが画質劣化を抑えるコツ。
Instagram / FacebookMP4H.264 / AAC各プラットフォームの推奨アスペクト比(縦長、正方形など)や尺の長さを確認することが必須。
X (旧Twitter)MP4 (PC) / MOV (モバイル)H.264 / AACモバイルアプリからはMOV形式もアップロード可能。ファイルサイズの上限が他のSNSより厳しい傾向があるため注意。
デジタルサイネージMP4H.264 / AACサイネージ機器の仕様書を確認し、対応する形式・コーデック・解像度を動画制作会社に正確に伝えることが不可欠。
展示会・イベントMP4H.264 / AACループ再生設定など、使用する再生機器の対応形式を確認することが重要。高画質が求められる場合は、MOVや非圧縮に近い形式が選ばれることがある。
プレゼンテーションMP4 (推奨) / WMV (Windows限定)H.264 / AACPowerPointはMP4の埋め込みに対応。OS混在環境ではMP4が最も安全。
テレビCMMXF / XD-CAM HDなどHD422 / リニアPCM などWEBの各種プラットフォームでの再生とは違い、推奨されるコーデック(映像/音声)は、放送局ごとに定められた厳格な形式要件がある。

一覧をみると、やはり汎用性の高いMP4が多数推奨されているのがわかります。特殊なテレビCM制作など以外で、企業が活用する動画であれば、基本MP4のファイル形式で問題ないはずです。

5.動画制作会社に依頼する際の注意点とは?

最後に、これまでご紹介した動画ファイル形式を踏まえ、動画制作会社に依頼する際のポイントをご紹介します。

すべてを理解して動画制作会社と打ち合わせに臨む必要はありませんが、発注する際に、ある程度理解し把握することで、進行中や納品後のトラブルを回避することができます。

最終的な利用媒体

動画を作ろうと思ったときに、どこで公開するのかをはっきりさせておきましょう。利用媒体が未定のままだと、最適な動画ファイル形式がわからず、納品後のトラブルに繋がります。

例えば、「自社サイトのトップページとYouTube広告で使います」とか、「社内研修動画として、社内windowsのパソコンで再生したい」など、できるだけ詳細に伝えましょう。

利用媒体の要件を確認

利用媒体により、ファイル形式解像度(画面サイズ)アスペクト(画面の縦横比)比などが異なります。その内容は、該当する媒体のWebサイトなどに納品データの要件が必ず記載されています。

自ら調べることが難しい場合は、「最終的な利用媒体」さえ分かっていれば、専門的な知識を持つ動画制作会社は媒体ごとの要件を理解していますので、打ち合わせ時に確認してみましょう。

マスターデータ(元データ)

契約内容によりますが、将来的な再利用のために、最高画質のマスターデータをもらっておくと安心です。動画制作会社によっては、追加料金が発生する場合もあります。

まとめ:最適な動画ファイル形式で、最大の効果を得ることができる!

動画を作成する際に必要となる代表的なファイル形式を10種類紹介しました。発注する側としては、かなり専門的であり難しい内容と感じたはずです。

すべてを覚える必要はありませんが、ある程度理解をしておいた方が、動画制作会社との打ち合わせ時のスムーズな進行、納品時のトラブル防止など、余計なコストを抑えることができます。

最も大事なのは、「制作する動画を、いつ、どこで、誰に、どのように見せたいのか」を動画制作会社に明確に伝えることです。その情報さえあれば、プロである動画制作会社が最適な仕様を判断し、適切なファイル形式で納品してくれます。

もし、動画制作依頼時に迷ったり、納品されたファイル形式が違っていたり、見慣れない拡張子だったりしたら、本記事を見返して参考にしてみてください。

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