
「採用サイトに社員インタビューを掲載したい」「顧客にインタビューをして導入事例の動画を作りたい」そう考えて動画制作に臨む企業は増えています。
しかしながら、「動画を作ること」自体が目的化してしまい、誰に・何を伝え・どう感じてほしいかという「戦略」が抜け落ちているケースも少なくありません。
そこで本記事では、数多くの案件に携わってきた動画ディレクターが、優れたインタビュー動画事例を目的別に厳選しました。単なる事例紹介にとどまらず、プロの視点から「動画を効果的に活用する戦略」や「対象者の本音を引き出す質問リストの作り方」まで解説します。
この記事を読むことで、動画の作り方だけでなく、成果につなげる戦略的な活用法を習得できます。オウンドメディア等での具体的な展開イメージまで理解できるはずです。
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目次
1.【目的別】インタビュー動画の事例16選!
それでは、動画ディレクターが厳選したインタビュー動画をさっそく見ていきましょう。「TOPインタビュー」「社員インタビュー」「座談会」「導入事例」と、それぞれの目的に応じてわかりやすくご紹介します。自社がどのようなインタビュー動画を制作すべきかの参考になるはずです。
TOPインタビュー
企業のTOP、いわゆる社長や役員が、企業の存在価値や未来を語る動画です。企業の顔である社長が熱意をもって語ることで、社風への理解が深まると共に信頼性が高まり、企業のブランド力向上や採用に寄与することが期待されます。
全日本空輸株式会社(ANA)
ANA 井上社長インタビュー
本動画は、社長就任当日にANA公式YouTubeチャンネルで公開されました。就任直後の『率直な気持ち』に加え、コロナ禍という極めて厳しい局面をどう乗り越えるかという具体的な決意が語られています。トップの人間性や熱意を、社内外へ誠実に伝えることを重視した構成といえます。
株式会社ハイデイ日高
【採用動画】ハイデイ日高 社長インタビュー
中華食堂「日高屋」を運営する株式会社ハイデイ日高の社長によるインタビュー動画です。オープニングや撮影場所、そして調理服に着替え、社長自らチャーハンを作るという企画など、こうした「動き」のあるシーンを挿入することで、視聴者の離脱を防ぐ効果的な演出といえます。
株式会社商工組合中央金庫
すべてはお客さまのために。 -民営化-|社長インタビュー
過去のイメージを払拭し生まれ変わろうとする会社の姿を、社長自身の言葉で語り、変革への熱意と本気度を社内外へ強く印象づけた動画となります。さらに、オープニングの大胆なタイポグラフィやBGMの演出からも、変革への強い意気込みが伝わってきます。
さらに読む:ブランディング動画を制作すべき理由とは?
社員インタビュー
採用活動において、今や不可欠なコンテンツといえます。求職者に年齢の近い若手や中堅社員が、入社の決め手や業務のやりがいを生の声で語ることで、求職者は自分ごととして捉えやすくなり、会社への共感や親近感が高まります。
デジタル庁
【新卒採用向け職員インタビュー動画】デジタル庁に新卒で入庁した理由
この動画は、デジタル庁が公開している新卒採用向けの職員インタビュー動画です。なぜ入庁したのかという志望動機をじっくりと語る構成ですが、要点を強調するテロップ演出や効果的なSE(効果音)の使用により、最後まで飽きさせずに視聴できるよう工夫されています。
株式会社リクルート
【リクルート】仲間との社内起業篇|“倍速”社員インタビュー(FULL)
“倍速”社員インタビューとしてシリーズ化された動画です。冒頭から倍速再生のようなハイテンポで編集されており、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する就活生世代に刺さる現代的な構成です。背景をワントーンで統一して余計な情報を削ぎ落とすことで、視聴者が話の内容に集中できるよう分かりやすくまとめられています。
全日本空輸株式会社(ANA)
【就活生必見vol.1】ANA客室乗務職が語る!お仕事編
学生からの『よくある質問』に、人事部のCA採用担当が直接答える実用的な構成です。2名のCAが回答する形式により、一方的な説明動画にはない親しみやすさが生まれています。また、複雑な点は図表やスライドで可視化(補足)されており、視聴者の理解と信頼を高める工夫がなされています。
株式会社サイバーエージェント
【1日密着】サイバーエージェント新卒4年目・アカウントプランナーの1日「CAの営業はお客様の聞き役だけじゃない」
「1日密着型」のドキュメンタリー風インタビュー動画も、採用動画として広く活用されています。Vlog(ブイログ)形式で出社から退社までを追うことで、リアルな業務風景やオフィスの空気感、服装などを視覚的に伝えます。これにより求職者は実際の働く姿を擬似体験でき、入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
さらに読む:採用動画制作の極意
座談会
複数人の社員が集まり、テーマに沿って語り合う動画です。部署を横断した若手社員などが、業務の成功体験や失敗談、社内のリアルな雰囲気を共有します。台本(セリフ)にはない自然な会話や、社員同士の関係性が垣間見えるのが魅力です。
古河電気工業株式会社
社員座談会「わたしの『つづく』のつくりかた」①
オープニングから社員の登場シーンをドラマチックに演出し、視聴者の心を一瞬で掴む座談会動画です。ありきたりな社内会議室ではなく、専用スタジオを使用することで、まるでトーク番組のような洗練された空気感を作り出しています。背景やメッセージボードなどの美術セットにも徹底的にこだわることで、他社とは一線を画すオリジナリティと企業のクリエイティビティを強く印象づける構成です。
株式会社トップランク
【リクルート】経理・総務・人事座談会|入社の決め手とやりがい
人事担当者が司会を務め、経理・総務・人事というバックオフィス職の社員が集まった座談会動画です。企業基盤を支える各部門の役割や連携について、部長や若手社員それぞれの視点から語られています。異なる立場の意見が交わされることで、業務のやりがいや社内の雰囲気を多角的に理解できる構成となっています。
同志社大学
学生座談会 就職活動編|同志社大学
就職活動を終えた在学生が集まり、「学部での学びをどう活かせたか」や「キャリアサポートの活用法」について本音で語り合っています。学生同士の対話を通じて、同大学が提供するキャリア支援の手厚さや、学業と就職活動の結びつきを、受験生や在学生に向けて具体的に伝える構成となっています。
導入事例
商品購入やサービス導入を検討している顧客に対し、意思決定の『最後の一押し』となる動画です。実際に導入した企業が、当時の課題や導入の経緯、解決策を語る生の声は、強力な社会的証明(ソーシャルプルーフ)として機能します。これは売り手側からの説明よりも客観的で信頼性が高く、商談の成約率を高める強力な営業ツールとなります。
株式会社JSOL
株式会社TBSホールディングス様導入事例:インタビュー動画
この動画は、JSOLの会計システムを導入した大手メディア企業である株式会社TBSホールディングスにおけるサービスの導入事例を紹介するインタビュー動画です。課題の提示→選定理由→導入の効果をきちんと顧客からの声で語ることでサービスの信頼性(ソーシャルプルーフ)を強力に裏付ける営業ツールとして機能しています。
KARTE
KARTE導入事例インタビュー(リクルートマーケティングパートナーズ)
この動画は、CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を導入した、株式会社リクルートマーケティングパートナーズの事例インタビュー動画です。こちらも導入の効果や成果であったり、実際にどのようにツールを活用して顧客体験を向上させているか、その施策や考え方が語られています。
アラジンEC
プレコフーズ様 アラジンEC導入事例インタビュー
Web受発注システム「アラジンEC」を導入した、株式会社プレコフーズ様の事例インタビュー動画です。3名の担当者がそれぞれの立場から、導入以前の課題や導入後の具体的な効果について語っています。複数の視点を通すことで、システム導入による現場の変化やメリットが、より立体的かつ説得力を持って伝わる構成となっています。
2.インタビュー動画の展開戦略
撮影した素材をYouTubeにアップロードして終わりにしてしまうのは、インタビュー動画の活用法として非常にもったいないと言えます。多大なリソースを割いて撮影・編集した資産ですから、最大限に活用しましょう。
例えば、スマホで見やすい「縦型ショート動画」に再編集してSNSでの認知を広げたり、動画の内容を文字起こしして「記事コンテンツ」化するのも効果的です。テキスト情報は検索エンジンに認識されやすいため、SEO(検索エンジン最適化)の観点からも評価が高まる傾向にあります。
ここでは急速に主流となった『縦型動画』について、その特徴や活用メリットを中心に解説します。
縦型編集で認知を広げる
採用活動において、特に重要になるのが、Z世代やミレニアル世代へのリーチとなり、TikTokやYouTubeショート、InstagramリールなどのSNSは無視できません。
長尺のインタビュー動画から「最も印象に残る一言」や「印象的なエピソード」を1分以内で切り抜きます。テロップを大きめに入れ、倍速視聴に慣れた層に向けてテンポよく編集し、ダイジェスト版としてSNSに投稿します。興味を持った視聴者を本編へ誘導できるため、求職者との新たな接点を作る入り口として機能します。
さらに読む:縦型動画を攻略しよう!
縦型インタビュー動画の事例3選!
それでは実際に縦型で編集されたインタビュー動画を見ていきしょう!
成田国際空港株式会社(NAA)
社員座談会〜若手編〜
Instagramのリール機能を活用した縦型フォーマットの座談会動画です。横型(16:9)は 画角が横に広いため、参加者全員を一度にフレームに収めやすいのですが、縦型は複数人を横並びで映すのは困難です。そのため、発言者一人にクローズアップするか、画面を上下に分割して複数人を見せる編集が必要です。スマホでの没入感が高く、印象的な発言を切り抜くショート動画などに適しています。
株式会社 日立ハイテク
社員インタビュー
こちらもInstagramのリールを活用した社員インタビュー動画です。縦型ならではの没入感と、自然体で語る社員の姿が相まって、見る人に強い親近感を与えます。また、1分以内のショート動画をテンポよく編集しているため、タイムパフォーマンスを重視する若手求職者の関心を惹きつける採用の入り口として機能しています。
日の丸交通株式会社
社長インタビュー公開!
こちらは、社長(TOP)インタビューを縦型動画として活用した事例です。ともすれば堅苦しく近寄りがたい印象になりがちな社長インタビューですが、リール特有の軽快なテンポや演出を用いることで、その素顔や熱意を直感的に伝えています。結果として、親近感を醸成し、企業のカルチャーフィットを促す採用ブランディングとして効果的に機能します。
さらに読む:インスタのリールとは?
3.「本音」を引き出す質問テクニック

良いインタビュー動画とは、単に画質が良い動画ではなく、「語り手の体温が伝わる動画」です。台本通りの綺麗な言葉ではなく、言葉に詰まりながらも溢れ出る「本音」を引き出すには、質問の設計が重要です。
ここでは、インタビュー対象者が自然体で語れるようになるための、効果的な質問の投げ方について解説します。
フレームワーク
インタビューにはある程度の型があります。とくにフレームワークを活用して質問を構成することで、対象者の本音を引き出し、インタビュー動画の目的に沿った内容へと導くことができます。以下に代表的な2つを紹介しましょう。
STAR(スター)法
STAR法とは、インタビュアーが相手の「普段の行動パターン」や「成果を生むための具体的な工夫」を深く掘り下げるための質問手法です。特に採用面接などで使われる手法で、以下の4つの頭文字をとっています。
Situation(状況): 当時、どのような困難な環境にありましたか?
Task(課題): そこで何を解決しようとしましたか?
Action(行動): 具体的にどんなアクションを起こしましたか?
Result(結果): その結果、どのような変化が生まれましたか?
5W1H
情報の抜け漏れを防ぎ、深掘りするための基本型です。以下の6つの英単語の頭文字をとって名付けられました。特にインタビューにおいては、「Why」や「How」が重要です。この2つを上手く引き出せれば、視聴者に共感を促せます。
Who( 誰が): 話の主体や関係者を特定し、具体的な役割を聞き出す。
When(いつ):時系列やタイミングを明確にし、変化の瞬間を特定する。
Where(どこで):場所や環境を明確にし、状況のリアリティを伝える。
What(何を):行動や出来事の事実を確認し、具体的な内容を把握する。
Why(なぜ):動機や理由、背景を引き出し、本質的な課題に迫る。
How(どのように):過程や手段、工夫点を聞き出し、具体的な方法論を伝える。
オープンエンド型質問
「はい」か「いいえ」や「A」か「B」で答えられる質問(クローズド)ではなく、「具体的にどう感じましたか?」のように回答者が自由に語れる形式です。相手の思考や感情の広がりを引き出すのに有効です。
インタビューフローの構築
いきなり核心に触れず、答えやすい「事実(いつ、どこで)」から入り、徐々に「思考・感情(なぜ、どう思った)」へと深めていく順序設計です。一般的には、以下の4ステップで構成され、対象者が話しやすく、かつ徐々に本音を引き出せるように「段階的」に設計するのが鉄則です。
導入(アイスブレイク)→事実確認→深掘り→まとめ
まとめ:秀逸なインタビュー動画の事例をヒントに、自社だけの「勝ちパターン」を作る!
いかがでしたでしょうか。本記事では、動画ディレクターの視点で厳選したインタビュー動画の事例16選をご紹介しました。一口にインタビュー動画といっても、経営トップや社員、導入事例など、その種類は多岐にわたります。
成功の鍵を握るのは、「目的とターゲット」の明確化、対象者の「本音を引き出す」質問力、そして制作後の「展開戦略」です。
これらを事前に計画することで、動画は強力なビジネスツールへと進化します。ぜひ、今回の事例と戦略を参考に、貴社の資産となる動画制作に取り組んでみてください。
バドインターナショナルでは、プロのインタビュアーが対象者の本音を引き出し、「共感」と「成果」を生み出すインタビュー動画を制作します。「質問設計に不安がある」「ターゲットに刺さる動画を作りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。









